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気に入っています。
自分が主人公になれるライフスタイル |
| 富山県 魚津漁業協同組合 金成裕晋さん |
30歳からのスタート
富山湾に面した魚津市は、古くから漁業が盛んな土地。ブリ、ホタルイカ、紅ズワイガニ、甘エビ、スケトウダラ、アジ、カワハギなど日本海の豊富な魚種に恵まれている。昭和40年代はサケ・マスの流し網北洋漁業で栄え、その後二百カイリ問題などで漁法が定置網や刺し網などの沿岸漁業にシフトした。

金成さんと「今の暮らしに満足しています」と語る晃美さん |
魚津漁業協同組合の規模は組合員1902人(うち准組合員は1585人)、最近は販売取扱高の低迷が続き、就労人口の減少と後継者問題を抱えている。この解決を図るため、魚津漁業協同組合は10年前から漁業就業希望者の一日体験受け入れを始めた。地元の公民館などに寝泊まりして船に乗り込み漁業を体験する。その中から、もっと多くの経験を希望する就業希望者がいれば、2〜3か月間、実際に水産会社や漁師の下で漁を体験してもらう制度だ。この間の食事や給料は水産会社などが保証する。
株式会社魚津水産で定置網漁に従事するキャリア3年の金成裕晋(かなりひろくに)さん(36)もこの制度で漁師になった一人である。もともと体を動かすことが大好きな金成さん。学生時代はサッカーとトライアスロンに熱中した。大学を出て、いったんは労働福祉事業団(現・労働者健康福祉機構)に就職し労災病院の事務を担当する。しかし、デスクワークには満足できなかった。石の上にも3年と思い6年間辛抱したが、体を使って働きたいという欲求が次第に膨らんでいった。こうして、自分に合った職業探しの旅が始まった。30歳のスタートだった。
外で働くことが好きな金成さんは、無性に自然の中に自分を置いてみたかった。6年間のデスクワークの反発からか、自転車にテントを積んで北海道各地を回り見聞を広めた。その後、長野県の八ヶ岳中央農業実践大学校での農業を体験や高知県室戸岬漁業協同組合での漁業体験、新潟県村上市の林業体験などを経て、現在の職業を選択した。
この間、鹿島槍ヶ岳の山小屋でアルバイトをしているときに晃美(てるみ)さんと出会った。自然志向の晃美さんは金成さんの職業観に理解を示し、二人は一年半後に結婚をする。
「好きなことをやってほしい」という晃美さんの一言がなければ踏み切れたかどうか、自信は無かったと言う。
仕事に対する思い入れが大切
団体職員時代は自宅に寝に帰るだけという毎日。今は自由な時間が持てて好きなこともできる。このライフスタイルが気に入っている。収入は漁がある月とない月では3倍ほどの開きがあるが、最初から覚悟をしていたので、それほど気にならないと言う。

水揚げは午前3時頃から始まる |
漁に出るのは深夜0時、港に戻って水揚げするのが翌朝5時。船の仕事はチームワークが大切、まだまだ経験不10足や技術不足を痛感する。
巨大な網が次第にすぼまり、魚の跳ねる様子がだんだんと見えてくるときはわくわくする。「昨年、一日にブリが3000匹とれたこともありました」と、うれしそうに語る。つらかったことは、漁師になりたての頃、段取りが悪くて先輩に叱られたとき。しかし、最近は時々先輩から褒められることもある。「早く、一人前の漁師になりたい」というのが目下の夢である。
成功のポイントについて尋ねると、「仕事が好きかどうか。思い入れの強さが大事」との答えが返ってきた。以前の職場ほどではないが、どこで働いても人間関係など問題はいろいろある。同期で辞めた仲間もいる。しかし、仕事に対する情熱があればきっと乗り越えられるはずだと話す。
「しっかりと熟考して転職することが大切」と金成さん。その表情には適職を見つけた満足感が宿っていた。 |
| 【No.1(2006年春号)掲載】 |
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