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| 夢を追い現実を見据え「緑の担い手」に挑戦 |
| 三重県 いせしま森林組合 大林誠司さん・松本雄一さん・井内徹さん |

左から、研修生を指導する西田さんと、研修生の大林さん、井内さん、松本さん |
「森林作業」というと「体力勝負」というイメージが強いが、最初に「いせしま森林組合」から知らされた森林作業研修生の年齢を聞いて驚いた。30代が中心で、中には50代の研修生もいる。組合代表理事の青木さんによると「今は林業も機械化が進み、若くて体力のある人じゃなきゃ出来ないという職業ではないんですよ」ということだった。「それにうちでは森林作業だけではなくいろいろなことをしてもらってます」と、同参事の玉串さんが話を引き取る。実はいせしま森林組合は、しゃきしゃきとした歯ごたえと濃厚な味で評判の「ハタケシメジ」の人工栽培に全国に先駆けて成功した団体として有名なのである。そしてこの三重県の新たな特産品栽培も森林作業員が担っている。
背景には木材需要の厳しい現実があるが、同組合では多角経営に乗り出す一方、地元の人間に固執せず、積極的に外部の力を生かし、結果を出し始めている。その日は、5人いる研修生のうち3人が近くの森林作業現場にいるというので事務所を出て現場に赴いた。初めに話を聞いた大林誠司さんは、今年で38歳。京都で飲食業をしていた。「うちの奥さんが田舎暮らしをしたいと言い出しまして、この前まで海女の研修を受けていたんですよ」という。自身は、山が好きで野鳥の会に入っていたことや、林業をやっていた友人の話なども手伝って研修応募につながった。「最初は、見るのと聞くのとは大違いだなと思いました。でも3か月やってみてこれなら続けられると……。山が好きだったらこの職業は楽しいと思う」という一方で、この職業に就きたいと考えている人に「危険な仕事だという覚悟は必要」とのアドバイスをくれた。カメラを構えると「実は観光カメラマンをやっていたこともありまして。撮られる側は照れますね」と、笑顔で応じてくれた。
「本当に僕なんかでいいの?」と、おどけた表情で話をしてくれたのは、大阪出身の松本雄一さん55歳。脱サラをして夫婦で伊勢志摩に来た。前職を聞くと、少し迷った末、最初にサントリーフーズ、次にエステー化学、その後関西に戻り、京都冷蔵にいたと教えてくれた。有名な企業ばかりなのでぶしつけにも「貯金がかなり有ったのでは」と聞くと「貯金なんて全然有りませんよ。本当。なのに年収は半分以下になってしまいましたから生活は大変です。でもねえお金じゃないんですよ」。そう言いながら語ってくれた動機は納得のいくものだった。「ゆくゆくは田舎暮らしをしようと思っていたんですが、60過ぎてから何かを身につけようとしても体がついてこないでしょう。だから下の子があと1年で学校を卒業するこのタイミングで行動を起こしたというわけです」。
退職後は、島根や鳥取で就農体験などにも参加し、田舎暮らしのための準備を進めてきた。今の楽しみは農家の古家を探すこと。「なかなか希望の物件が無くて」と楽しそうだった。
35歳の井内徹さんはIターン。その理由ははっきりしている。「生活のためです。子供が生まれたので、着実に技術を身につけられる職業に就こうと思いました。この仕事は一人前になるまでに時間は掛かるけど、体が続く限り出来る。実際やってみると結構奥が深いんですよ」と、照れながら話してくれた。小さいときから森林作業の手伝いをしてきた上での新たな選択。これも一つのIJUの形だろう。
今回紹介した3人が参加している研修は、三重県の「緑の担い手」事業とそれに続く1年間の就業研修で、2005年度でいったん終了する。06年度からは新たな枠組みの中で行われる予定となっているそうだ。 |
| 【No.1(2006年春号)掲載】 |
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