安全が求められる森の技
―慎重に、確実に |
| 林業というのは、とてもたくさんの危険な道具を扱う業種だ。チェーンソーや刈払機に始まり、カマ、トビ口、ノコギリなどの工具。クレーンやショベルカーなどの重機。最近は高性能機械を導入した作業も多い。林業の技を磨く初歩段階では、これら古今東西のさまざまなツールを自在に、そして安全に使いこなすことが求められる。どんなことを身に付けていくのか。その技術や資格を紹介しよう。 |
技術を「磨く」、その前に林業は、自営の農業や漁業と違い、森林組合などに雇われて安定した生活を手に入れられる。IJUターンを考えている人や、自然相手の仕事をしたい人にとっては、その点でも魅力的な職業だろう。サラリーマン同様、まず業界に飛び込んでから技術の向上を図ることができるからだ。
しかし、脅すわけではないが、身に付けるべき技術や資格を紹介する前に、その重要性を、森林業務が抱える危険を例に挙げて数字で見てみたい。
2005年に林業労働者として森林業務に携わった人は、約8万6000人だった。このうち労働災害(労災)で亡くなった人は47人。死傷した人は2000人強だった(林業・木材製造業労働災害防止協会の統計)。
事故は、伐倒作業中に木の下敷きになったり、激突されたりすることが多い。斜面の転落や刈払機(長い柄の先に付いた円盤型の刃が回転することで下草を刈る手持ちの機械)によるケガもある。アクシデントは、それを起こした本人ではなく、周りの人に及ぶことが多いのも、この業種の特徴だろう。
技術の向上が「重要」な理由はこれで分かったと思う。林業は、作業の慎重さ、技術の確かさが切実に求められる業種なのだ。だからこそ「林業に興味を持った」次の段階では、この業種の光と影の両方に目を向けて技術を磨いていくことを考えたい。
前号でも触れたが、各地域の林業労働力確保支援センターでは「林業就業支援講習」という20日間程度の講習を実施している。就業前に身に付けておくべき技術や知識をひととおり教えてくれるので、就業を希望する人は、まずこの講習を受けてみよう。
地域に根差した林業研修
「林業就業支援講習」の他に、各センターでは地域に根差した研修も行っている。
例えば、秋田県林業労働力確保支援センターでは、地域密着型の研修制度として「秋田県ニューグリーンマイスター育成学校」を実施している。将来、基幹となる優秀な林業技能者を育成するため、みっちり2年間の一貫した研修制度を設けている。 |
■標準的な林業就業支援講習カリキュラム(20日間)
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■秋田県「ニューグリーンマイスター育成学校」概要

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| 林業の仕事に就くために必要な資格・教育の例 |
伐木等の業務に係る特別教育
チェーンソーを使っての立木の伐木、かかり木の処理や造材の業務の前に必ず受けなければならない教育。学科と実技の2 種類の講習があり、講習後は修了証が発行される。各地の教育機関、労働機関等で受講可能。18歳以上から受けられる。
刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育
林業の他、農業やゴルフ場での作業など、さまざまな場面で活躍することが多い刈払機の事故防止のために行う教育。必要な知識や実技の教育を受けた後、修了証が発行される。各地の教育機関、労働機関等で受講できる。18歳以上から受けられる。
その他就業に有利な資格
最近は、高性能機械を使った作業が増えたため、個別に以下のような運転資格を取ってあると、就業に有利となる。運転資格はそれぞれの機械により異なる。
●プロセッサ:枝払い・造材を高速で行う機械 ●フォワーダ:玉切りされた木材を運搬する機械 ●ハーベスタ:伐倒・枝払い・玉切りをすべてこなせる機械 ●タワーヤーダ:伐倒された木材等を架線により吊り上げて運び出す機械
◎いずれも知識と実技の2種類の講習がある。講習は各地の教育機関や労働機関などで受けられるが、受講日数や金額は場所によって異なるので確認しておこう! |
森林と人との共生を目指す岐阜県立森林文化アカデミー
岐阜県美濃市の豊かな自然環境に抱かれて立地する岐阜県立森林文化アカデミーは、森林をめぐる諸問題を、地域と一体になって解決することを目指し、2001年に開校された。理念の通り専門教育と生涯学習両方の機関を有し、総合的な森林教育の場として実学的な取り組みを展開している。
なかでも林業の専門教育では、建築や環境なども含めた特定分野のスペシャリストを育てる「森と木のクリエーター課」と、森林についての幅広い知識と現場での実践的技術を持ったゼネラリストを育てる「森と木のエンジニア課」を設置。少人数制教育を貫き、森に携わるさまざまな分野に人材を輩出している。
森林、林業にじっくりと取り組みたい、深く携わりたいと考えている人にとって、教育機関で技術を「磨く」という選択も考えられるのではないだろうか?
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| 【No.3(2006年秋号)掲載】 |
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