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トマトに魅せられて―営業マンから転身
愛媛県久万高原町 倉本正勝さん

トマトの魅力を語る倉本正勝さん
 倉本正勝さん(56歳)が愛媛県久万高原町に新規参入して6年目になった。最初の1年間(2001年度)は、久万高原農業公園アグリピア内の研修センターの温室で、トマト養液栽培を研修。2年目からビニール温室5棟(15アール)で大玉トマト3000本を養液土耕栽培し、農協共販(ブランド名「久万高原トマト」)で主に京阪神市場に出荷している。

トマトに魅せられた
 倉本さんのトマト生産実績は、生産4年目の05年度が約10トン。今や、立派なトマト生産農家である。
 1本のトマトに13段目まで実をならせ、7月初めから10月いっぱいまで4カ月間出荷する。
 3000本のトマトは、1本ごとに生育が少しずつ違う。「これは、少し細いでしょう。水を欲しがっている」「これは、太い。栄養状態もちょうどいい」
 倉本さんはいう。―トマトは、栽培管理にちょっと手を抜くと、いろいろな形で表れてくるデリケートな作物。ストレスがあると、体(茎葉)にぶつぶつが出てくる。実が付くと、体(茎)が細って、「餌(養分)をくれ」と叫ぶ。寒くなると、生長点付近が紫色になる。栄養が多過ぎると、太く上に伸びて、暴れる。
 倉本さんの語りには、トマトへの愛情がある。トマトに魅せられた人が、ここにいる。

営業マンから転身
 倉本さんは、計測機器製造メーカーの営業マンだった。茨城県つくば市の研究センターで産官学協同の仕事に携わっていたころ、居住地の龍ヶ崎市で市民農園(3アールほど)を借りた。龍ヶ崎市もトマトの産地。近所の農家が作るトマトに興味を覚えて、市民農園でトマトを作った。

トマトはデリケート。作業に手は抜かない
 もっと本格的にトマト栽培をしたい。茨城大学農学部の新規就農コースにも通った。市民農園も5年目、農業(トマト)への思いが募ったころ、会社が早期退職を募り始めた。
 全国新規就農相談センターから愛媛県久万町(現・久万高原町)を紹介してもらった。久万高原農業公園(久万高原農業公社)研修センターがIターン研修生に月15万円の研修手当を出す制度も魅力だった。
 しかし、当時の規定では「40歳未満」で農業研修2年間。倉本さんはこのとき、50歳になりかけていた。「無理をいって、私のために規定を変えてもらった。研修期間も1年間にしてもらった」(倉本さん)。
収穫・販売の喜び
 「今から思えば、定年後に就農したほうが、生活に余裕ができたはず」と倉本さんはいう。しかし、「そのとき決断し、農業を始めたことはよかった」。「一生懸命努力したものが実を結び、収穫できて、販売し、お金になったときは、これほどうれしいことはない」。
 就農に大反対だった奥さんも、今はトマト栽培を手伝っている。「芽かきや摘果、収穫など細かい仕事は、女性のほうが適している」(倉本さん)。
<愛媛県中予地方・自治体の支援>
●久万高原農業公園研修センター研修制度
@久万高原町内で新規就農したい者に対して「久万高原農業公園研修センター」での農業研修機会を提供し、農業の担い手を育成する対象
・おおむね50歳以下の者
・終了後に、久万高原で就農すること
・研修期間はおおむね2年
・研修品目については施設園芸による、トマト、イチゴ、花き、ホウレンソウの栽培を志す者
・ある程度の就農準備金を有する者
A研修補助金※
・町内出身者 12万円
・Tターン者 15万円
B農業機械・施設整備補助金※
・就農時の機械購入、施設整備のリースを受ける際、300万円もしくは事業費の60%のいずれか低い額を補助金として交付
C新規就農初年度の生活費貸与(無利子)
・月額本人15万円(以内)、配偶者5万円(以内)、第一子3万円(以内)、第二子2万円(以内)
D住居対策
・Tターン者独身者であれば、後継者独身寮を斡旋
※注:ただし、就農開始後5年未満に営農活動を中止した場合は、返還の必要あり
【問い合わせ先】
(社)久万高原農業公社
〒791-1212 上浮穴郡久万高原町下畑野川甲500
TEL 0892(41)0040
【No.3(2006年秋号)掲載】
 
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