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計画力と実践力が必要
福岡県朝倉市杷木町 小松久起さん

農業は計画性と段取りよく実践する力が必要という小松さん
 福岡県の朝倉市で新規就農した小松久起さん(51歳)はイチゴ「あまおう」15アールとオクラ7アールを栽培する。2004年に一般企業を退職後、福岡県農業大学校で1年間イチゴ栽培を学び05年に朝倉市杷木町で空きハウスを取得し、就農した。

熱意あればこそ
 小松さんが朝倉市杷木町で空きハウスを見付けたのは農業大学校に在学中のときだった。「ここで農業をやりたいと感じました。縁があったんだと思います」。
 まず杷木町の住民になって信頼を得ようと地元の不動産屋で空き家を探したが見つからず、手製のチラシを新聞配達店に持ち込み、折り込み広告に入れてもらった。
 朝倉地域農業改良普及センターに「引っ越してきますから、よろしくお願いします」と挨拶に行った。対応した普及員の梶原さんは「農地はどうするの。まだ決まっていないんでしょう?」と心配したが同時に真剣さも伝わった。「受け入れる以上は決して失敗させられないと感じた」。
 就農の計画は何度も練り直した。奥さんの意思も固いことを確認し、「一緒に頑張りましょう」と支援を約束した。
 就農支援資金の借り入れ手続きは難航した。資金の借入額を減らすため「自分でできることは自分でやる」方針を徹底し、イチゴの育棚は資材を買ってきて自分で作った。農作業は初めてという奥さんと力を合わせスコップとくわで排水路も手掘りした。

実践するというのは大変なこと

小松さんの就農をサポートした農業改良普及員の梶原さん(左)
 学校でイチゴ作りを一通り学んだが、実践は容易ではなかった。普及センターの指導を受けながら持ち前の研究心で栽培に打ち込む。しかし、11月まではイチゴの収入がない。そこでオクラの栽培にも取り組むことにした。道の駅「原鶴」にある農産物直売所「バサロ」での販売を就農時から計画していた。朝5時から収穫して出荷したオクラは1袋120グラム入り100円で販売し、1日に100袋売れ、4カ月で70万円になった。
 イチゴの栽培は順調に進んだが、収穫したイチゴのパック詰め作業の忙しさは、想像を超えていた。最も忙しい3月、そのつらさに「もうイチゴは見たくない」と奥さんは涙を見せた。つらい時期を乗り越え、「他の農家も頑張っている。慣れるしかない」と前向きな姿勢を取り戻した。1年間を終えてイチゴの粗収益は450万円、10アール当たり2.7トンの収穫で大粒が多く、1キロ平均で1100円という実績を上げた。「イチゴは土作りと作りがすべて」と話す。

一匹狼では農業はできない
 小松さんは高知県の農家の三男として育ち、福岡の大学に進学し、そして企業に就職した。その後起業して社長業のつらさも味わった。再びサラリーマンとして働いていたとき「自分が60歳になったとき勤め先があるだろうか」と考えた。「健康な限り続けられる農業をやろう」と決めた。高知ではなく福岡で就農したのは「自分の力でやり遂げたかったから」だという。
 「あこがれだけで農業はできない。年収や経費、労働時間などを具体的な作物をもとに試算し、段取りよく実践する力が必要だ。地域あっての農業ということも忘れてはならない。農業は一匹狼ではやれない」と小松さんはいう。
【No.3(2006年秋号)掲載】
 
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