九州・沖縄発
農業を仕事にしたい人へのメッセージ |
| 新規就農者は一人ではない。地域の人や同じ悩みを持つ人たちが集まり、さまざまな問題に取り組んでいる。農業法人の経営者組織と新規就農者ネットワークの代表者の皆さんに、就農を考える人へ向けてのメッセージを寄せてもらった。彼らはもちろん、九州・沖縄で活躍する農業者でもある。 |
農業法人経営者組織
(社)日本農業法人協会副会長
福岡県農業法人協会会長
松藤富士子 |
日本農業を支える農業人になることを願う
農業法人とは、「法人形態」で農業を営む法人の総称で、(社)日本農業法人協会は、農業法人を会員とした組織です。現在、1689の会員を有し、農産物の生産から加工・販売、観光に至るまで、農業を基本として多様な事業を営む農業法人の経営等に関する情報提供や調査研究、政策提言・要望活動などに取り組んでいます。
九州と沖縄には382の会員(仲間)がいます。それぞれの地域に即したバラエティーに富んだ経営を展開しており、事業規模の拡大や経営の多角化などを進めています。九州、沖縄の各県ごとに農業法人協会があり、各県の農業会議に事務局が設置されています。
農業法人を基礎とした連携は、海外へも広がっています。福岡県農業法人協会は、一昨年から韓国の農業法人協会に当たる(社)韓国新知識農業人会と交流を深め、今秋には代表団との交流研修会が福岡で開催されます。韓国では農業法人を中心とし、生産者と消費者を直接結ぶ総合流通センターが開設されるなど、
食と農に対する大きな役割を果たしています。食と農への関心が世界的に広がっていくなかで、「自分らしく、やりがいを持って仕事をしたい」―多くの皆さんがこうした思いを持って農業をしようと考えていることでしょう。現在の農業法人の経営者たちもよりよい農産物作りを最初の課題とし、消費者に喜ばれることを大きな活力源としています。皆さんが情熱を持って農業に取り組み、日本農業の柱となる農業人となることを願っています。
(松藤富士子・農事組合法人モア・ハウス理事) |
やりたいことを実現するためにも、周りに助けてもらう
実は私が耕甦会に入ったのは2005年。今年代表を務めることになったばかりです。県内の新規就農者の集まりから耕甦会が立ち上がったのは11年前のことです。就農にあたって抱えるいろんな不安、土地や家の問題、資金の借入先や地元へどう溶け込むか、農業の技術への疑問など、どんなことでも話し合える場所、それが耕甦会の会合です。新たに就農してくる人を盛り上げていきたい、そんな思いを持って会をやっています。
作物づくりと田舎暮らしに興味があって、一生できる仕事に就きたいと飛び込んだ農業の世界。災害や自然条件に左右されることも多いですが、自分で思ったことをすぐに実践に移せて、その結果が出てくるところが面白みだと思います。新規就農される人は、一人の力で何とかするのではなく、周りが応えて協力してくれたり、技術のアドバイスがもらえてこそ、経験がないにもかかわらず農業をやって、生活をしていくことができると思います。こういう農業がやりたいという思いを大事にしながら、それをどういう方法で人に伝えれば実現に向かっていくか。そんなことを考えて頑張っていってほしいと思います。
(榊敏行・前職は銀行員・就農4年・トマトとイチゴ栽培)
<耕甦会の概要>
会員数:17人
年齢:20代〜70歳代
会員の就農年数:今年就農〜就農25年程度
会員の栽培作物:野菜、稲作、養鶏
会員の職歴:公務員、銀行員、学生、IT関連など
活動内容:年1〜2回の会合。熊本農業フェアへの出店。他県との家族ぐるみの交流会など
事務局:熊本県農業会議
TEL:096(384)3333 |
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新規就農者ネットワーク
アグレッシュおおいた会長
栗田洋蔵 |
「農家になってよかった」という人を増やしたい
4年前の2002年、大分県の農業会議からのアンケートをきっかけに、20人ほどの新規就農者が集まりました。順調に事業を軌道に乗せている人から話を聞く、というのが会の趣旨でしたが話をしてみると、皆それぞれに孤軍奮闘していました。新規就農者同士話をしてみると、この労は自分だけじゃない、ということが分かってずいぶんと勇気付けられました。そんなことから、年2回の会合がスタートしました。
田舎では近所づきあいが濃厚だといわれますけれど、それは大変なことばかりではなくて、助けてももらえるということ。顔を知らなくても困っている人を見たら助ける。ここで暮らしていると、そんなことが当たり前になってくるように思います。ネットワークの会員の中には、資金を借りる保証人がいなくて困っていたら、仲良くなった隣の家の人が保証人を引き受けてくれた、という話をしてくれた方もいますよ。
多くの新規参入の仲間が「農家になってよかった」と心底喜べるようになってほしい、ネットワークがその助けになればと願っています。
(栗田洋蔵・前職は電気店・就農14年・みつば水耕栽培)
<アグレッシュおおいたの概要>
会員数:36人
年齢:20代〜50歳代
会員の就農年数:今年就農〜就農15年程度
会員の栽培作物:果樹、花き、野菜
会員の職歴:営業、販売、店舗運営など
活動内容:年2回の会合。2006年4月に活動4年目を迎え、新たにスタート。
大分県農業会議内に事務局を設け、会則なども整備した
事務局:大分県農業会議
TEL:097(532)4385 |
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自慢できる作物を育て続け、経験を力に
鹿児島県の農業会議の協力で、1991年に発足した新営農会。同じ悩みを持った新規参入者の語り合う場所を作ろうという目的で始まりました。会員は県下広くに散らばっているので、年に何度も会えるわけではありませんが、泊まりがけの懇親会では、苦労話やこれからの自分の農業をこうしていきたいというような農業への熱い思いを語り合っています。自分で道を切り開いてきた開拓者が多いので、それぞれの話はおもしろいですよ。
子供とロクに顔を合わす時間も持てなかった会社員時代に比べると、家族が年中一緒にいて顔を付き合わせることができる今の生活は、ありがたいなあと思います。自然災害や貿易自由化による輸入作物の増加、重油の価格が上がり経費がかさむというようなことが起き、収入が思うようにならないこともあります。けれど、農業が好きで、自慢できる作物を育てていければ、継続が経験になり、経験が力となって蓄えられていきます。継続は力なり。七転び八起き。苦あれば楽あり。こんな三つの精神を持って、あとは自分の健康管理を怠らないこと。そうすれば長く農業を続けていけるんじゃないでしょうか。
(満尾哲行・前職は菓子店経営・就農13年・バラの水耕栽培)
<新営農会の概要>
会員数:20人
年齢:30代〜60歳代
会員の就農年数:就農8年〜就農27年程度
会員の栽培作物:花き、養鶏、茶、花、野菜など
会員の職歴:IT関連、教員、タクシー運転手など
活動内容:年3回程度の会合。交流研修、イベント参加、他県との家族ぐるみの交流会の他、個人間での情報交換
事務局:鹿児島県農業会議
TEL:099(286)5815 |
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| 【No.3(2006年秋号)掲載】 |