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木を育てる充実感

山口県 錦川森林組合
小阪 満信さん
 

小阪 満信さん
小阪満信さん(33歳)が林業の仕事に就いてから、2007年2月でまる3年経つ。小阪さんは、山口県の3大林業圏の一つ、錦川森林組合(岩国市)の作業班に属している。

環境を守る仕事をしたい
 小阪さんは、大阪の出身。大手デパートに就職、食品部門に配属された。東京・有楽町での勤務が10年あまり、大阪に転勤後も地下の食品売り場に地下鉄で通勤する「太陽に当たらない生活」。東京

瀬戸内海を展望する山頂で作業班の仲間たちと。
左から2人目・小阪さん、3人目・脇本作業班長
時代に職場結婚した妻・良江さんは、横浜出身だが、東京、大阪といった大都市の空気と水になじめず、ぜん息をわずらった。良江さんの健康を気づかって退職。大阪で自営のラーメン店を開店した。味のよさが評判で繁盛したが、良江さんの病状を見かね、前から関心のあった「環境を守る仕事」に就きたいと痛切に思った。
 林業の「緑の雇用」は知っていた。そこで出会ったのが、山口県森林整備支援センターのホームページ。良江さんのぜん息を自然環境のなかで治したいという思いがつのった。「猛暑のなかや厳寒のなかでの、経験のない人には想像もできない辛い仕事」というセンター所長の説得も、小阪さんの思いに勝てなかった。ラーメン店を半年で友人に譲り、岩国市への移住を決めた。

分かりあえる人たちとの仕事
 作業班の仕事は、林産以外の、下ごしらえや除間伐、下草刈りなど木の育成全般。時には公園の整備や河原の草刈りなどもある。
 夏の下草刈り時期は、朝4時に起き、夜の明けないうちに現場に向かう。車を停め、懐中電灯の明かりで山道を登る。作業班の仲間たちと日の出を待って、仕事を始める。
 体が慣れるまで2年かかったが、「自然と向き合い、汗水たらして働き、働いた成果が目に見える」「危険がともなう仕事だからチームワークが必要。意思疎通でき分かりあえる人たちと仕事ができることが魅力」「ストレスがない。年収は2分の1以下になったが、仕事の充実感でいっぱい」という。

公園内の樹木の除伐作業をする小阪さん
 脇本正次作業班長は「一時しのぎで林業に入ってくる人は長続きしない。私は国土を守るという気概をもって仕事している」と語る。
 錦川森林組合は常用作業員50人、臨時雇い20人。相川典生組合長は、作業員としての適性を次のように話す。
 「目立たない地味な仕事。だから、忍耐力のある人。仕事が計画的で慎重な人。協調性のある人。山の仕事は、自分勝手で軽はずみな動きをすると事故につながる。体が資本だから、けがのないように安全第一で」
 「林業に入ってよかった。木を育てる仕事が向いている。もっと早くから、こういう仕事に就きたかった」と小阪さん。良江さんの健康も回復し、男の子が生まれた。岩国市内に家も購入した。Iターン青年の家族がいま林業に定住しようとしている。森林組合は、小阪さんに基幹林業技術者研修を受け、林業の担い手の一人になることを期待している。
【No.5(2007年春号)掲載】
 
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