ここから始まるI・J・Uターン

ナシ栽培のプロ目指すIターン・セカンドライフ

山口県秋芳町
谷村 健次さん 美知子さん
 谷村健次さん(53歳)・美知子さん(49歳)夫妻は、2005年2月、山口県秋芳町に新規参入し、ナシ園を経営している。当初60アール借り入れたナシ園は、05年末に10アール、06年末に30アール借り増し、1ヘクタールになった。

田舎暮らし目指し、就農フェアに通う

秋芳町で栽培されている二十世紀梨


秋芳町の広大なカルスト台地「秋吉台」
 山口県秋芳町は、カルスト台地の地質・気候風土をいかし、ナシ産地として有名だ。秋芳梨生産販売組合は組合員45戸、「秋芳梨」(品種・二十世紀)のブランドでナシを販売している。
 谷村さん夫妻は、50歳くらいになったら田舎暮らしをしたいと考えていた。健次さんは福岡県、美知子さんは東京都出身。「農山村で自然と触れながら生活したい。農業は、たいへんそうだが、農業だったら――」。健次さんは、東京で編集事務所を経営しながら、美知子さんといっしょに全国新規就農相談センターが開催する新・農業人フェアに通った。田舎暮らしや農業の情報を集め、フェアでは各県の相談ブースを歩いた。相談では、「農業といってもいろいろある。何をやりたいの」と聞かれた。そこまで考えていなかった。だが、果物には興味がある。
「そうだ、果樹栽培だ」
 そんな折、ホームページで、山口県のあるナシ農家が高齢で目が不自由になり、ナシ園の後継ぎを探しているという情報を見た。(財)やまぐち農林振興公社に相談し、その案内でナシ産地をいくつかまわり、結局、営農指導体制がしっかりしている秋芳町を就農先と決めた。
 だが、貸してもらえるナシ園の空きがなかった。「待ちますか」の問いに「待ちます」と即答。2年半後、ナシ園が借りられた。待っている間、ナシの摘果、袋かけ出荷などの作業繁忙期は、東京から週末を利用し、研修を兼ねて農家の手伝いに通った。そのときに知り合った地元農家が現在もよき隣人、よき相談相手になっている。

農業のおもしろさは、やってみなきゃ分からない
 就農当初の自己資金は300万円。一番大事な車両型の薬剤散布機・スピードスプレヤー1台(半額は県と町との新規就農支援助成)、軽トラック1台、運搬機(中古)1台、草刈り機1台、その他の農具などの購入資金にあてた。ナシ園60アールの地代(10アール2・5万円/年)は5年分、県の就農支援助成が受けられた。6カ月間、研修資金(月額15万円)が県・町の負担で支給された。
 

農業の成否は自分の努力次第という谷村健次さん、美知子さん夫妻
ナシの10アールあたりの出荷量は地域の栽培農家の平均が2トン。谷村さんは、05年産は黒斑病がでて1・2トン、06年産は天候不順で玉太りが悪く1トン。06年産の小玉は人づてで直売した。すぐにプロ並みとはいかない。
 「農業にはおもしろいところがいっぱいある。自然に左右されるというが、体験しないと分からない。自然の大きさを感じる。経済的には大変な部分があるが、自分の努力次第。がんばるしかない」
 「どんな農業をやりたいのかを決めて、情報を集め、検討する。その上で、どこで始めるか、就農先は新・農業人フェア等を活用する。就農候補地が決まれば、何度か足を運び、状況や情報を知る。県や市町村の支援制度を活用させてもらうとありがたい」と実体験にもとづいた就農希望者へのアドバイスをしてくれた。
【No.5(2007年春号)掲載】
 
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