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| これからの農業人材育成と中長期的視野がカギ |
熊本県南阿蘇村 有限会社木之内農園
代表取締役 木之内 均さん |
プロフィール
木之内均(きのうち・ひとし)
1961年神奈川県川崎市生まれ。67年東京都町田市に転居。80年九州東海大学農学部入学。ハワイ留学(50日)、南米留学(1年)。大学卒業後、85年熊本県南阿蘇村(当時・長陽村)に農業新規参入。97年木之内農園を有限会社に。現在に至る。妻さゆみさん、子ども男3人、女1人の6人家族。 |
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大学卒業後すぐの1985年、熊本県南阿蘇村(旧長陽村)で農地を借り入れ、農業に新規参入しました。その後、イチゴのハウス栽培・観光農園を軸に経営規模を拡大し、97年には有限会社に法人化しました。木之内農園グループの経営農地面積は現在、16ヘクタールです。
木之内農園は、稲作、露地野菜、イチゴ施設栽培・観光農園、農産加工、たまご拾い牧場といった多角経営です。それまで経営内で行ってきた新規就農希望者の研修事業を独立させ、03年にNPO法人阿蘇エコファーマーズセンターを立ち上げました。同じ年に、農業法人間・連携大型園芸農場の(株)花の海(16ヘクタール)を山口県に作りました。また、日本ブランド農業事業協同組合(JBAC)専務理事の仕事もあります。中国・山東省にアサヒビールが作った大規模農場・朝日緑源の農業アドバイザーも務めています。
農業が好きで、というよりは、自分の仕事として大好きな大地の上で農作物を育てたいと思い新規参入しました。農家以外の出身の仲間たちが集まり、経営の形態も有限会社にして、経営規模拡大、複合経営、多角経営の道を歩んできました。農業をやりたいという新規就農希望者のための農業研修事業を手がけて、何人もの仲間たちが育っていきました。研修事業はいま、農業法人・農家8経営がつくったNPO法人のもとで、農業を担う新たな人材が育っています。仲間たちが経営の所得だけで生活を成りたたせるためには、産業としての農業「事業農業」を展開することでした。その結果が、いまの木之内農園グループの姿です。
農業だけの所得で経営を成りたたせるにはむずかしい時代になってきました。
農業経営は販売(マーケティング)がカギをにぎりますが、販売競争のなかで他の経営の売上が伸びることによって、自分の経営の売上が伸び悩むといったことが起こっています。もともと農業は資本の回転率が低いため、経営にはむずかしいことが多いのです。
新規参入して20年過ぎましたが、これからの5年がもう一つの勝負どころです。規模拡大を続けてきましたが、借地が多いため、栽培管理作業にロスがでています。経営農地をまとめて、経営基盤を強くしたい。また、農業経営の中間管理職を育てるむずかしさを感じていますが、分散している社員の力の集約を考えたい。適材適所の人の配置が大事だからです。生産基盤・経営基盤を再構築するために、今年からもう一度現場に立って陣頭指揮をとっていきたいと考えています。
もう一つは、将来の農業を担っていく人材をもっと育てたいと考えています。NPO法人の研修事業を強化します。
若い人たちの間で農業への関心が高まっています。私の長男も農業を、それも畜産をやりたいといい始めました。本人の思うような農業経営をさせてやろうと思っています。
いま農業をやろうとしている20歳代の若者や団塊の人々は、純粋に植物を育てたい、作物作りをしたいという人たちが多くなっています。そういう人たちにとって、中山間地の村で農業を、それも半分兼業といったかたちで始めるのも一つの方法だと思います。有利な条件と環境が整ってきました。地域政策としての中山間地域の活性化対策で、中山間地域に新規参入する若者たちの農業確立を支援する政策が必要です。
20年前に比べ、自然・環境への関心と意識が格段に高まっています。農業への関心が高まるなかで、本当の意味での農業を論じていける時代が迫っています。
産業、経営、そして法人としての農業を論じながら、産業政策としての農業政策を確立する必要があります。産業政策と地域政策を分けて考えるべきでしょう。食糧問題を論ずると同時に、産業としての農業をしっかりと確立すべきです。

イチゴ・ハウスで木之内農園の仲間たち、研修生たちと。左から2人目・妻さゆみさん、3人目・木之内均さん |
農業の魅力は、「作る喜び」にあります。農作物の販売価格が高くついても、よくできなかったときは、おもしろくない。多少安くても、よくできたときは心が晴れ晴れします。農業生産は自然のなかでするのですから、農作物を作ることには同じ気候や土の状態など、同じ条件は二度と起こりえない。自然のなかで自然を感じる感覚をとぎすまし、自然の力を利用しながら、ものを作る、だから、楽しくて、喜びがあるのです。
いま、農業を始めようとする若い人たちは、私たちのときとくらべ、厳しいところに打ちあたったときに、あきらめが早くなっています。もったいない、もう一踏ん張りすれば、といつも思います。農業をものにするには、3〜5年かかります。本当によかったか判断するには、10年かかります。小さなことを幸せと感じる精神があれば可能です。一般経済での価値判断とちがって、5〜10年のスパンで見る目をもってほしいと思います。
独立して農業をする人も、法人に就職して農業に就く人も、自立心は同じ。法人に就職する人は、自分の飯は自分で稼ぐくらいの気概をもってほしい。自立した自分が自然と向きあって、自分を試す、ものを作る、喜びを体で感じる。そんな気概をもって、いっしょに農業の新しい道を切りひらく仲間たちを歓迎します。 |
| 【No.5(2007年春号)掲載】 |
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