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祭りが取り結んだ地域との絆
静岡県浜松市 有限会社アトップ
大村 一弘さん |
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ネギにさわりながら水分や養分の状態をチェックする大村さん。「植物の声を聞けってよくいわれますが、まだまだです」とはにかむ |
農業法人に可能性を見いだす
「30歳を前にして、このままでいいのかって思っちゃったんですよね」
大村一弘さん(38歳)が神奈川県川崎市のコンピューター関連会社から農業生産法人(有)アトップに転職して丸8年になる。
農業法人に就職したきっかけは、池袋で開かれたUIターンフェア。日本農業法人協会のブースを見て、「農業にも法人があるのか」と思った。農業のことは全く知らなかったが、「自分で一からやるのは無理でも、法人でならできるかも」と考えた。
さっそくある法人で研修したが、そこは法人とはいえ家族経営的な組織で、「がんばってもずっと従業員のままでは」と不安を持った。半年後、足を運んだ新・農業人フェアでアトップに出合う。役員四人に血縁関係はなく、家族にこだわらない方針に共感した。また、募集広告の「やらまいか」という言葉にも引かれた。やらまいか?は遠州地方の方言で、「とにかく一生懸命やってみようよ」という意味。大村さんは、「そういってくれるなら、やってみようかなと」と笑う。「食べものをつくる仕事なら、一生できるかもしれない」とも思った。
地域からの信頼が生命線

地域に導いてくれた「浜松まつり」で愛娘を肩車する大村さん( 中央)と妻の聖子さん( 左)、徳井代表( 左奥) |
アトップのもう一つの特徴は、「借地農業」であること。メイン作物である葉ネギ各種を栽培するハウス100 棟あまりと露地のすべてが、近隣農家からの借地なのだ。「農家は農地を貸すには抵抗がある。気持ちよく安心して貸し続けてもらうには、地域から信頼される会社でなくてはならないし、従業員も周囲と積極的にコミュニケーションをとり、地域に出ていくことが求められる」と代表取締役の徳井厚夫さん(55歳)は語る。
大村さん自身も、初めての土地で、地元にいかにとけ込むかに最も苦心したという。そんななか、入社したその年から、徳井さんが「浜松まつり」に連れ出してくれた。「祭りでいろんな人と知り合い、『アトップの大村』を知ってもらうことができた。徳井代表には本当に感謝してい
る」と話す。実は、妻の聖子さん(39歳)とも「浜松まつり」で知り合った。現在は2児のパパ。今年、会社からほど近い場所に家も持った。「いよいよ本当に地域の人間になったということ。これはすごい。地域からの信頼もより厚くなる」と徳井さんも目を細める。
「浜松まつり」には、長男の誕生を祝う「初凧」を揚げる習わしがある。「うちは女の子ですが、昨年、凧を揚げさせてもらいまして」と大村さんはうれしそうだ。
「やらまいか精神」でチャレンジ

100 棟余りのハウスと露地( 委託含め3 ヘクタール) で栽培した葉ネギは、スーパーや加工会社等へ納品される。栽培している葉ネギの種類は14
アイテムにのぼる |
3年前から大村さんは、葉ネギのハウス栽培管理を全面的に任されている。「重い責任を感じますが、でもやりたいことはやってみろといってもらっている。いろんなことに挑戦できるのは楽しい」と大村さん。正社員八人は生産部門と営業部門に分かれていて、出荷調整ラインには、たくさんのパートスタッフが働いている。大村さんが作る作物の出来によっては、営業部門や出荷調整担当から、きついクレームを受けることも。大村さんは「夜寝ていても、ネギが夢に出てきますよ」と苦笑いする。
これから就農を考えている人には、「農業は土地があってこそ。地元にいかに入り込んでいくかが重要です。『やらまいか』精神でチャレンジしてみて」とアドバイスする。 |
| 【No.6(2007年初夏号)掲載】 |
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| 農・林・漁に就く |
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