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OLから森の仕事に大変身
愛知県豊田市 豊田森林組合
池之嶌 英子さん
人生は一度きりだから

「とよた森林学校」の講座風景
 池之嶌英子さん(28歳)は、豊田森林組合で研修生として働く森林作業員だ。最初に参事の安藤賢治さんから紹介されたときは驚いた。女性だったからだ。森の現場に女性は少ない。「めずらしいですね」と、正直に聞いてみると「そう…かもしれませんねえ。でもあまりこだわってないんです」と、屈託のない笑顔で答えが返ってきた。
 豊田市の中心街から車で1時間。同組合の本所は、宿場町の面影を残す古い町並みや、山里の美しい風景で有名な「足助」の山懐に抱かれた地にある。
 池之嶌さんが夫婦でこの地にやってきたのは、2年前、2005年の秋。理由はあった。「名古屋でOL をやっていたけれど会社組織が合わなくなった」こと、「先に両親がこの地に移住していた」こと。そしてもう一つ。聞いた途端「えー?」と、いってしまった理由があった。
 「実は、父も同じ仕事なんですよ。あと、お姉ちゃんも」
 その昔、足助に家族旅行で訪れた池之嶌さんのお父さんは、この地が気に入り週末農業などをやるようになった。転勤族だったので住まいは愛知県内を転々とした。そして数年前、早期退職をしてこの地に移住。森林作業員として組合の仕事を請け負うように。その後、お姉さんが、次に池之嶌さんが、ともに夫婦で足助に居を構え、父と同じ森の仕事を生業に選
んだというのだ。
 池之嶌さんは、この春で1年間の研修が終了する。それを機に独立し、父と組んで個人として組合等から仕事を請け負う予定となっている。
 「不安はあります。ケガしたら働けないし、その分の保障はないです。でも人生1回きりだから、好きに生きていきたいなあ…なんて」
 そんな話をしていると、池之嶌さんの携帯が鳴った。どうやらだんなさんらしい。「ケーキ? 買ってきてくれるの?」などと聞くとはなしに聞こえてきたほほえましい会話。その向こうには温かく心豊かな暮らしがあるに違いない。

市と共同で人材育成に注力

倒木処理の現場で一瞬だけ笑みを見せた池之嶌さん。斜面は片足で立たなければならないほど急峻だ
 豊田森林組合では、池之嶌さんのように、国から組合等に助成がある「緑の雇用」の制度を利用し、多くの研修生を育てている。
 一方、市からの要請により、趣味講座から一歩踏み込んだ生涯学習として「とよた森林学校」を運営しているのも大きな特徴だ。
 同学校の企画、立案、予算化は市が行う。講座は現在16講座。対象としているのは、
@広く一般的に森林に興味がある人、A森林ボランティアに興味がある人、B林業のことを学びたい森林所有者、Cセミプロとして林業に携わりたい人。
 サラリーマン人口が多い大都市圏から近いこともあり、人気は上々だ。なかでも全14日の「セミプロ林業作業者育成講座」や全3日の「矢作川源流の森観察会」には募集人数の倍以上の応募があった。
 まだ始まったばかりの取り組みだが、将来、この講座から多くのセミプロや森林マイスター、森の応援団が育っていくことだろう。
【No.6(2007年初夏号)掲載】
 
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