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負けん気と人一倍の努力で歩む
「海の男」への道
山口県長門市 山口県漁業協同組合川尻支店所属 
松岡 健史さん
 「本物の海の男になりたい」
 漁師への強いあこがれを胸に、兵庫の都会育ち、23歳のサーファーは日本海沿いの漁師町に飛び込んだ。それから6年。「まだ半人前」とはいうものの、松岡健史さん(29歳)は立派に自分の船を持ち、結婚して子どももできた。地域に根を張り、息子と漁に出る日を夢見ている。

研修1年目に漁船を購入
 サーファーの実兄、寺戸寛史さん(34歳)が漁業のアルバイトをしながらカフェや海の家を経営していたのが縁で、松岡さんは長門市油谷川尻にやってきた。
 目的は一つ、漁師になること。「正社員だったガス配管工の仕事を辞めて、とにかく来てしまった」という松岡さんに、運よく漁業研修の話が舞い込んだ。漁協と県、市町が一体となって進める「ニューフィッシャー確保育成推進事業」だ。漁業指導士のもとで2年間研修して自立を目指すというもので、研修期間中は月15万円と住宅の支援がある。
 「15万円が出るうちに自立の基礎を作らんといかん」と考えた松岡さん。研修1年目に借金をして中古船を買い、師匠の船に乗って見習うだけでなく、苦い失敗を繰り返しながら体で覚える、より厳しい研修を自らに課した。
 「毎日本当につらかったけどがんばれたのは、もともと負けん気が強いのと、『辞めたら帰るしかない、絶対に引き返せない』と思い続けたことかな」と、松岡さんは最初の数年を振り返る。

腕を磨いて次の目標はクロマグロ漁
 松岡さんを「タケちゃん」と呼び母親のように見守る、漁協川尻支店長の中村加奈江さんは「漁師は気難しいところがあって、農村よりも溶け込むのが難しいと思います。タケちゃんは相当な苦労と努力をしていますよ。本当に偉いです」と感心しきりに語る。松岡さんのあとに二人研修生を受け入れたが、いずれも研修半ばで挫折したという。
 漁の主な魚種は4〜5種類のイカと地の魚。「一本釣り漁師として一人前になるには、あと10年かかるかな」と松岡さん。次の目標は腕を磨いてクロマグロ漁に挑戦することだ。「格闘って感じでしょう」と語る目が輝く。
 漁業のやりがいは、自分の腕と運次第でサラリーマンの月収分を1日で稼いでしまうことだという。しかし売値が安いこともあるし、捕れないときは落ち込む。「他人には勧められないです」といいながら、生後5カ月の建晋君と将来一緒に船に乗るのがいちばんの大きな夢と語る。
【No65(2007年初夏号)掲載】
 
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