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準備校がまさに就農への入り口だった

「家族の協力がなくては、農業はやっていけない」と田中さん。 子どもたちも学校が休みの日は手伝ってくれるという
千葉県山武市 田中秀門さん

 千葉県山武市に新規就農した田中秀門さん(45歳)は、就農準備校の修了生の一人だ。就農9年目の現在は、1.2haの畑で、シュンギクやコマツナなどの葉もの野菜を生産し、食品加工業者やスーパー、JAなどに周年出荷している。

雑誌の中づり広告に「農業特集」の文字
  14年間のサラリーマン生活に終止符を打ち、本格的に農業で生きていこうと決心させてくれたのが、就農準備校だった。本社のある静岡県三島から東京の子会社に出向していた時のこと。通勤電車のなかで、ある雑誌が農業特集をしているという中づり広告を見た。静岡にいたころから漠然とだが「将来は農業を」と思っていた田中さんは、さっそく雑誌を購入。そこに就農準備校の紹介記事が載っていた。「経験もつてもなく、仕事に追われて自分で情報を探す時間もなかった私にとって、まさに農業への入り口が就農準備校でした」と田中さんはいう。

法人説明会でさらに一歩前進
  田中さんが受講したのは、平日の夜間に開かれている入門コース。「受講生は老若男女実に多彩。時間のやりくりは大変だったけど、教室にみなぎる熱気が一歩踏み出す勇気を与えてくれた」と当時を振り返る。週2日全10回の授業に、時々遅刻しつつも通い抜いた。準備校で聞いた新規参入者の成功事例や農家の苦労話が、就農後の励みにもなっているという。
  1カ月半の講座が終わろうという時、千葉県合同農業法人説明会の案内チラシを手にする。そこで出合った山武町(当時)の農事組合法人が、「休日だけでもいいから手伝ってみないか」といってくれた。法人の事務や組合員農家の仕事を手伝いながら、農地探しを続けること半年。ついに、組合員農家の紹介で30aの畑を借りることができた。就農準備校でもらった1枚のチラシが、さらなる一歩を踏み出すきっかけを与えてくれた。


トウモロコシの発育状態をチェック。知人に直売しているトウモロコシは、家族にとってもお楽しみだ

農業で生きる覚悟と蓄えを
  37歳で就農した時、田中さんにはすでに、妻のベルナデットさん(現在38歳)と2人の子どもがいた。妻と二人で農作業に打ち込んだが、1年目の収入は180万円ほど。貯金を崩さずに済むようになったのは、5年目くらいからだ。「農業は、一人前になるまで時間がかかる。20代の独身ならともかく、ある程度の年齢から農業を始める場合は、それなりの覚悟と蓄えが必要」とアドバイスする。
  数年前に作業小屋付きの空き家を借りて、出荷作業の能率が一気に上がった。子どもたちも成長し、いよいよ農業に集中できる環境が整いつつある。「契約栽培は穴があけられないから、毎日追われるよう。でも、やりがいはある」と、二人はほほ笑みながら顔を見合わせた。

【No.7(2007年秋号)掲載】
 
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