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馬産地だより
有限会社福田牧場
北海道浦河町 中川 阿哉子さん

馬といられるだけで幸せという中川さん
  広々とした青い大地をやさしくなでるように風が吹き抜けていく。馬産地、北海道浦河町の初夏は、今春生まれたばかりの子馬と母馬が、さわやかな風にたてがみをなびかせながらのんびりと草を食む姿を、そこかしこで見ることができる。
  親子はほとんどの場合、生産牧場の馬だ。生産牧場とは、母馬を飼い、子馬を生産して競りに出す1歳くらいまでの間、育てる牧場のことで、浦河町には現在約160軒の生産牧場がある。
  福田牧場で働く中川阿哉子さん(23歳)も、そうした生産牧場で働く一人。馬に携わる仕事がしたい。その思いを貫き、高校卒業後に名古屋から単身、この地にやって来た。
  「もともと動物が好きだったんです。とくに馬が好きで、小さいころから競馬場で馬を眺めてきました。馬を見ていると飽きません」と、はにかみながら語る。ここに来るまでには、知り合いの、そのまた知り合いの…と、ツテをたどった。
牧場は福田夫妻による家族経営。住み込みで働く中川さんは、今年で4年目になる。最初は遠慮もあったが、いまや家族のような関係になっている。

浦河町にあるJRA日高育成牧場。牧場の敷地面積は1,500 ヘクタールを超える広大なもの。世界で勝てる馬づくりを目指して整備された若駒たちの鍛錬の場である。画面中央に写るのは直線馬場(練習コース)。写真には写っていないが、左手には傾斜地を利用して馬に筋肉をつけさせる坂路馬場もある
  「長くいてくれるので助かっていますよ」とは、牧場主の福田さん。生産牧場の仕事は決して楽ではない。春の出産シーズンは交代で寝ずの番が必要になる。夏は朝から晩まで牧草の刈り取りに追われる。憧れだけではできない仕事だ。
  いま、中川さんが担当するのは主に馬と牛の世話。朝は5時に起きて飼葉を与え、放牧。馬の寝床である敷藁を外に干し、厩舎を掃除する。肉用牛の飼育もしているので、子牛にミルクをあげるなど、40頭以上いる牛の世話もする。朝食前の仕事だけでもこれだけある。その後、敷藁の裏表を返す、福田夫妻がトラクターで刈り取ってきた牧草の運搬やラップ詰めと、やることは尽きない。
  「きついといえばきついです。でも、どんな仕事でも大変なんだと思うから。同じ大変なら馬と一緒にいたいです」
  そう語りながら「トアー」と、子馬の名を呼び、自分の顔を近づけた。
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協力:日本中央競馬会
【No7(2007年秋号)掲載】
 
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