
広大で設備の整った研修牧場 |
北海道東部、根室市の北に位置する別海町は酪農のメッカ。人口1万6500人の町で、酪農家870戸が乳牛13万頭を飼っている。牧草地は6万haだ。
別海町酪農研修牧場は1996年に設立。97年から研修生を受け入れ、07年で11年目。これまでに受け入れた研修生は、累計で夫婦49組、独身者3名。うち夫婦6組、独身者2名が研修途中で断念したが、36組の夫婦が就農している。07年度は、夫婦8組(16名)が研修中だ。
この研修牧場は、別海町と町内5農協が出資して設立した第三セクターの有限会社。実践研修牧場は、フリーストール牛舎(155頭)とつなぎ牛舎(60頭)。牧草地186haの大規模な牧場だ。

実践的な研修がモットーだ |
「何よりも意欲がある人」
品質管理のための国際基準ISO9001を取得した。生産・作業の履歴をすべて記録し、品質の良い牛乳を生産する優秀な酪農家を養成する訓練のためだ。
研修牧場長の谷野利一さんは、「実践経験をつうじて酪農の基本を教えこみ、優秀な酪農家に育ってもらうこと。3年間の研修をやりとおして、品質の良い牛乳を生産し、経営がしっかりした酪農家を目指すよう指導すること」が実践研修の目標だと語る。
研修1年目は、基礎的な技術・知識・作業全般の習得する。2年目は、専門知識や応用力の養成。3年目は、農家研修などをつうじて自立可能な能力を養成する。

別海町酪農研修牧場の研修生たちと谷野利一牧場長(前列中央)、職員 |
研修生は、臨時職員として1人月額13万円(夫婦2人で26万円)の給与がもらえる。研修生の世帯用宿舎は2LDKで、家賃は月2500円。普通に生活していくには、十分な金額。夫婦は35歳以下、独身者は30歳以下というのが年齢条件だが、「何よりも健康で、意欲のある人」が研修生の一番必要な条件と谷野さんはいう。
研修終了時に向け、町、JA、研修牧場が一体となって独立をサポートする。
夫婦いっしょに励ましあって
千葉県出身の高谷良知さん(27歳)と静岡県出身の千華さん(27歳)は、動物専門学校で出合い、同じ動物園で働いていた動物好き夫婦。北海道で動物関係の仕事をしたいと、インターネットで見つけたのが別海町の研修牧場。さっそく電話して内容を確認し、別海に行くことを決めた。現在、研修2年目。「おいしい牛乳を搾れるように酪農経営・技術を学びたい。食に関する仕事は相当の覚悟がないとできない仕事。1人ではできないが、夫婦2人でならできる」と二人は話す。

斎木さん夫妻(右側)と高谷さん夫妻 |
研修1年目の愛知県出身の斎木豊樹さん(25歳)と愛媛県出身の早希さん(23歳)は、9月に結婚式をあげた新婚夫婦。二人は大学で出合った。豊樹さんは、高校生のころから農業をしたいと考え、大学は農学部に進学。「新・農業人フェア」に参加し、谷野牧場長から別海の酪農ヘルパーを紹介してもらい、2年半勤めた。早希さんは卒業後、愛媛で就職したが、豊樹さんの夢に魅かれ、同じ道を歩むことに。「想像もしていなかった牛の世話にやっと慣れた」と早希さん。「就農後のほうが大変だと思うが、今は一緒に励ましあって、頑張っている。いつも一緒にいられるのが農業のいいところ」と夫妻。
本当にやりたいことを見つけ、笑顔で語る2組の夫婦が、輝いて見えた。 |