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農業後継者を育てる
町ぐるみの農業法人


福井県若狭町
有限会社かみなか農楽舎

代表の馬場さん

5年間で14人の就農・定住を実現
  福井県若狭町の(有)かみなか農楽舎は、2001年11月、町・地元住民・民間企業の出資によって設立された。農業後継者の育成・定住促進が主な事業という、珍しい農業生産法人だ。研修生は町から管理委託を受けている若狭町農村総合公園の土地と施設で、コメづくりを中心とした農業技術の習得と、集落への就農の準備を行う。この5年間に町内への就農者10人、同法人への就職4人、計14人が若狭町に就農・定住した。
  代表取締役を務める馬場康一郎さん(59歳)は昨年まで、出資者である(株)類設計室勤務と、かみなか農楽舎代表を兼務していた。町が農村総合整備事業で農村総合公園建設を計画した際、類設計室が相談を受けたのが、かみなか農楽舎に関わるようになったきっかけだ。
  農村総合公園を建設するころ、町は都市住民が遊びに来る観光農園をつくろうとしていた。しかし、話し合いが進むうちに「農家の高齢化・兼業化が進むなか、地域に必要なのは、今後の農業を担う人材の育成ではないか」という話が飛び出た。「都会には、農業に熱い視線を向けている若い人がたくさんいる。ならば、農業に意欲をもった若者に真剣に対応する組織と場をつくろうということになりました」と馬場さん。


栽培責任者の下島さん
研修後の2つの道

  経営責任者には馬場さんが、栽培責任者には、兼業農家の下島栄一さん(58歳)がヘッドハンティングされた。かみなか農楽舎では農業研修事業のほか、体験学習事業や農業生産事業、直販事業などを行っている。収入の中心は、町内の水田38ヘクタールを借りて生産しているコメの販売収入だが、「ここは損得抜きに、人材育成が第一義」と馬場さんはきっぱり。2年間の研修終了後は、地元農家の農地や農機具を借り、アドバイスを受けながら就農して、独立を目指すことになる。農家側も修了生を、てぐすね引いて待ち構えているという。高齢農家と卒業生とで設立した法人も、この2年間ですでに4法人できている。
  また研修後、かみなか農楽舎の社員になる道もある。今年から社員となった、山本進さん(25歳)は大阪出身。入った当初から研修後は社員として働くことを考えていた。「2年目は水田約4ヘクタールの自主管理に加え、大型機械の扱いやトラクターの牽引、フォークリフトの操作、機械類の維持管理などを幅広く学びました」と研修の様子を話す。社員になったいま、「自分が担当する田んぼだけでなく、全体に目配りできるようにしたい。ここを維持していくための技術を磨き、人材を育てていくことが、自分の目標でもあります」と抱負を語る。


稲刈りに向けコンバインの点検をする山本さん
本気のやる気がポイント

  今年4月から研修を始めたばかりという大久保友貴さん(21歳)は、神奈川県出身。工場で働き、お金を貯めて大学で農業を学ぶことを考えていたが、研修制度を知り方向転換。反対する両親を説得して、この地にやってきた。「農業は子どものころからの夢。実際やってみたら、予想以上に楽しい」と目を輝かせる。
  毎年100人近い応募があり、うち20人ほどが現地まで足を運ぶ。そのなかから4人程度が採用となる。どの人を選ぶかは、研修生を含めた全員で決める。「送迎の途中や食事中の会話からも、人格が見えてくる」と馬場さん。評価ポイントはと聞くと、「嘘つきでないこと。入りたいからいいことばかりいうけれど、本心からそう思っているかを見極める」そうだ。

【No.8(2007年冬号)掲載】
 
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