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就職後3年で独立へ
地域の農業を元気にする!
香川県観音寺市 有限会社石川農園
山下 大輔さん
石川敬諭社長(右)は親のような存在。義父の名にもたまたま敬が付く。長男には二人から敬の1字をもらった
「農家として独立したいが、技術も元手も地縁もない。法人に就職して独立の手掛かりをつかめたら」
山下大輔さん(33歳)は、そう考えて就職先を探していた。
京都府西京区のニュータウンで育った。中学生のころから田舎暮らしを夢見るようになったが、「なんとなく」大学に行き、大手ファストフード企業に就職した。
農業をやろうと本気になったのは、職場で食の安全に疑問をもったからだ。
「たとえばレタスは刻んだものが袋詰めで届きますが、輸入物は2週間たっても傷まずにきれいなままなんです」
それとは別に「食材を組み合わせるだけ」の仕事に物足りなさも感じた。やりがいある一貫した仕事を見つけたかった。農業で独立を目指した思いもそこにある。
目の輝きにほれた出合い
「いきなり独立」の道も考えないではなかった。京都府の就農相談窓口を訪ねたが、生活支援付きの研修制度は独身者の枠がなくあきらめた。「就農準備校」に通うなど手探りで就農活動をするうちに、2004年春の「新・農業人フェア」で、石川敬諭さん(58歳)と出合う。
「働きながら農業の勉強をさせてもらい、数年後に独立したいのですが」
山下さんは、石川さんにこう相談をもちかけた。
石川農園は従業員16人を抱え、8月から5月までのレタス栽培を主力とし、このほかにタマネギ、青ネギ、水稲などを栽培する。後継者不足が目立つ地域にあって、先進的な営農を進めている。
「目の輝きがすごい」。山下さんが抱いた石川さんの第一印象だ。「百姓の心」を熱く語る石川さんの姿に「就職するならここだ」と決め、将来の相談をした。
「『3年でも5年でも独立後の苦労は同じ。3年後に独立しろ。同じ苦労なら早いほうがいい。自分で覚えろ』と社長に背中を押されました」
石川農園は楽しい職場。独立後も、最初の収穫を得るまでは、石川農園でアルバイトをさせてもらう予定だ
独立は期待より不安が大
就職してからは、常に「3年後」を念頭において努力した。
「社長も『機械操作は早く覚えたほうがいい』などと気配りしてくれました」
積極的に願い出て覚えた仕事もある。一から十まで、一とおりの流れをつかむことが課題だった。
「一人じゃどうもならんだろう」と、石川さん夫妻は結婚の世話もしてくれた。
独立のお膳立ては、資金をかけないよう配慮しつつ石川さんが進めてくれた。まずは1ヘクタールの農地を借り、レタスやタマネギをつくる。農機具は石川農園がレンタルしてくれる。倉庫兼作業場の確保という課題も残るが、順調に準備が進む。
2月いっぱいでいよいよ退職だ。
不安と期待とでは、不安のほうがずっと大きい。安定した収入が得られるかどうかは、最大の不安材料だ。
農業は、天候や病害、市況など、外部環境リスクを受けやすい仕事だ。ただ、やりがいは十分ある。その上、石川さんという頼れる存在もいる。
軌道に乗ったら、付加価値を付けるなど工夫をして「ハイまではいかなくても、なるべくリターンの多い農業をしたい」と山下さん。地域の農業を元気にできればと考えるその顔は引き締まって見えた。
石川社長→就農希望者へ
3年間は投資だけだから、そりゃ会社としては痛いですよ。しかし一人でも農家が増えたら地域が元気になる。個人的にはそのほうが大事。独立してくれたら育てたかいがあったというもんです。
これからは本当に苦労の連続でしょう。この子がこれからどう頑張るのか、ほんまに楽しみ。本気で就農したい人ならこの地域での独立を応援しますよ。
【No.9(2008年春号)掲載】
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