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「家庭と就農」の両立を求めて
徳島県板野町 有限会社竹内園芸
安藤 雅也さん |
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苗の良し悪しが収穫を決める。苗つくりは細かい神経を使う仕事だ |
落ち着いた生活環境を求めて
「農業をやりたい。ただし家庭をもつことと両立させたい」
安藤雅也さん(26歳)が農業法人への就職を選んだ最大の理由はそこだ。
「収入の問題は多少あります。が、それよりも家族と移住するとなると、身軽な独り者とは違って、知らない土地にそう簡単には飛び込めないでしょう?」
農業への転職を考えていた当時、大学時代に知り合った美智代さんと交際していた。彼女と落ち着いた生活環境で暮らし、なおかつ農業をするには、法人就職が一番現実的で妥当な選択だと思えた。
美智代さんは徳島出身。彼女の地元で農業法人に就職しようと、県のハローワークに登録したところ、数社からオファーが。そのなかから「土に直接触れる仕事」ができる竹内園芸を選んだ。2005年5月のことだ。そして仕事と生活が安定した同年秋、結婚。翌年、長女が生まれた。
同社は、キュウリ、トマト、ナスなど果菜類の接木苗を中心に、野菜苗の育成販売で全国に経営展開している。正社員数は64人。平均年齢は28、29歳と若く、農業で生きていきたいと集まるIターン、Uターン者も多い。関連会社を含めたグループ全体の売上高は14億円を超える。2月には群馬県に関東農場を開設する、成長めざましい企業だ。

「移住仲間」の山本さん(右)と。安藤さんの研修は繁忙期の5月だったが、太陽の下で生き生きと働く社員を見て「ここならやれる」と思ったという |
今の仕事に役立った教職経験
安藤さんは大阪府狭山市で公務員の家庭に育った。農業や自然には全く関心がなかったが、大学進学の際に「消去法で」農学部を選び、鳥取大学に進んだ。卒業後は、「大阪に帰ってインターンシップなどを経験しながら就農の道を探ろうか」と考えていたが、農業高校の非常勤の職を紹介され、1年間教壇に立つことに。
就農には回り道に見えた教職経験だが、思いがけず今の仕事に役立っている。
同社では「子どもたちに農業への関心をもってもらおう」と、周辺小学校に毎年、プランターと野菜の苗を贈っている。安藤さんは、学校に出向いて育て方を教える仕事を担当。自分でも同じ苗を栽培して、インターネットのブログで栽培ポイントを紹介する工夫もしている。
「楽しく、やりがいのある仕事です」
仕事は充実、でも夢は自給自足
仕事にも家庭にも恵まれ、充足した毎日。だが、育苗は「収穫物がない」ことが、就職当初から、そして3年近くたつ今も、心の隅に引っかかっているという。
「仕事は仕事として割り切っていますが、自分が食べる物を自分でつくりたい」
現在はアパート暮らしだが、小さな畑を借りて家庭菜園を作るのが夢。そして「究極の夢は自給自足」だという。
「将来、自給自足の余剰生産物を売って暮らせたらいいなと思います。お金があればすぐにでもやってみたいですが、いまはここで学び吸収する時期。一人前になるには、あと2、3年はかかるかな」
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人事担当・山本功治さんのコメント
私自身、8年前に大阪から移住してきました。前職は電機メーカー社員ですが、仕事でも生活面でも、すべてにおいて転職してよかったと思っています。
果菜の苗は春先に生産が集中するので、普通の勤め人感覚だと繁忙期を乗り切れません。しかし、そのサイクルを納得できた社員の定着率はいいですね。正式入社の前に研修期間をおいて、仕事の内容をよく理解してもらうようにしています。
安藤君は能力が高いですね。人も上手に使いますし、もう立派に一人前ですよ。 |
| 【No.9(2008年春号)掲載】 |
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