
ピオーネの剪定作業をする林さん |
体験研修+実務研修→就農
「榮農王国山光園」は、高梁市備中町西山にある新規就農者のための営農施設。6.12haのトマト園と、3.14haのピオーネ(ブドウ)園が広がり、住宅12棟が並ぶ農業団地だ。山林・原野を開拓し、備中町(現・高梁市)が整備。2005年から入植がスタートし、現在、10組の家族が、トマト、ピオーネの栽培に励んでいる。
山光園では、トマトまたはピオーネによる農業経営が前提だ。募集対象は、既婚者で、夫婦の合計年齢が就農時に100歳以下(主たる農業従事者が55歳以下)であることが原則。1カ月の農家での体験研修を経て、2年間の実務研修を行い、3年目に本格就農という流れが基本である。入口となる体験研修を受けるには、地元受け入れ農家も参加して行う1泊2日の面接(夫婦同伴)に合格しなくてはならない。

「先輩トマト農家を追い越したい」と抱負を語る山川さん。後ろに見えるのは山川さんのトマトハウス(39a) |
パートナーの意志が鍵
「面接では、妻の態度や考え方を重視する。農業は一人ではやっていけない。本人(夫)の思いもさることながら、連れ合いの協力を得られるかが、かなりのポイントを占める」と、旧備中町時代からの担当であり、高梁市備中地域局産業建設課の丹正鎮夫さんは話す。体験研修後、本人の意志を再確認した上で、実務研修に入る。
この体験研修及び実務研修のシステムは、岡山県の「新規就農研修事業」と連動している。山光園で就農を希望する場合はまず、県が開催する就農オリエンテーションに参加。その後、高梁市に農業体験研修の申し込みを行い、備中地域局での面接を受けることになる。面接試験に合格すると、希望する作目の先進農家にホームステイして体験研修。この段階で、「なんとかやっていけそう」と感触をつかめば、2年間の農業実務研修に入る。このプロセスを踏むことにより、実務研修の期間中、月額15万円が支給されるという大きなメリットがあるのだ。
また、高梁市独自の支援として、新規参入で、将来にわたり専業として農業経営を続けていく意志のある人には、100万円の就農奨励金が支払われる(ただし、申請年度に本人が55歳以下であることが条件)。
山光園での就農(実務研修を含む)に際しては、営農保証金200万円を預託する。「本気のやる気の証」(丹正さん)だ。かつ、当面の営農・生活資金として最低500万円の可処分資産の準備が求められる。保証金は、営農期間10年後に全額返却される。しかし、実務研修中から生産物を農協に出荷・販売できる制度があり、研修生への実践的かつ金銭的な配慮はある。

山光園では床面積約58m2の住宅が賃貸できる |
本気で就農するなら資金的準備は必須
ところで、都合700万円の準備金は、かなり高いハードルに思われるかもしれない。しかし、「現実には、1000万円くらいないと厳しい」と話すのは、2004年に山光園に入植した山川俊治さん(37歳、神奈川出身)だ。「ここは農地も家も技術も、すべてお膳立てされている。それでも、お金は次々に出ていく。新規就農するには資金的な準備は欠かせない」と強調する。山川さんより1年早く入植した林輝さん(28歳、岡山市出身)も、「2年間、月15万円の支援金は大きかった。結果的に故郷に戻った形だが、もしこの制度がなければ、よそに行っていたかも」と話す。それぞれトマト、ピオーネで経営を確立させつつある2人。「地域とのつながりを大切にすること。結局それが自分の経営に返ってくる」(林さん)、「体力含め、思うより楽じゃない。相当な覚悟が必要」(山川さん)とアドバイスする。
高梁市備中地域局では今年、高齢層をターゲットとした「田舎暮らし・交流事業」もスタートする。 |