ここから始まるI・J・Uターン

都会の営業マンから林業へ ストレスフリーで日々充実
栃木県鹿沼市 粟野森林組合 牧島正幸さん(39歳)
Profile:林業歴:6年
牧島正幸さん
山の斜面から運び出された木々は、現場で玉切りして、その断面等から木材として使用できるか否かを確認する。
突然の帰郷から早7年 故郷の山は俺が守る
 緑豊かな栃木県粟野町(現:鹿沼市)で生まれ育った牧島正幸さんは、現在、粟野森林組合の中堅として、近隣の山々を守る仕事に従事している。
 粟野といえば古くから林業の町として知られるが、牧島さんはカーレースに出場するほどの車好きが高じて、高校卒業後は約8年間、車の部品製造やタイヤ販売店など、自動車関係の仕事をする。
 その後、アルミ建材の大手企業へ転職するも2年後には転勤で横浜へ。故郷を離れて約4年間、営業マンとしての都会生活も軌道に乗っていたが、「母親に癌が見つかり、急遽地元に帰ることにしました」と牧島さんは振り返る。
 「祖父が山仕事をするのを見て育ったので、大変な仕事だなあと思っていました」という牧島さんは、林業をやるためにUターンしたわけではないが、翌年には応募した粟野森林組合に就職。横浜に転勤する前から交際していた地元の女性と結婚し、今では小学1年生を頭に3人の子どもに恵まれ、すっかり地元に根を下ろしている。
今も残る大雪の爪痕 手入れした山を見る喜び
 現在、牧島さんが作業をしている現場は、粟野森林組合から車で約20分の入粟野山中だ。通常現場へは3〜4人のチームで入る。朝7時半に現場へ集合し、16時頃には解散。現場に直行直帰のため、事務所に立ち寄ることはめったにないという。休日は日曜日と雨の日。お盆休みと年末年始にはまとまった休みが取れる。
 「今やっている主な仕事は、雪にやられた木の片付け≠ナす」と牧島さん。
 昨年2月、日本列島が記録的な豪雪に見舞われたことは記憶に新しいが、粟野も例外ではない。大雪の影響で太い幹が途中から折れたり、根こそぎ倒れたり…。それらの中から、伐倒できるものは伐倒し、安全に運び出せる木は運び出し、木材として使えるものとそうでないもの(バイオマス燃料等に使用)により分けて、切り揃える作業が続けられている。
 林業は常に危険と隣り合わせの仕事でもある。牧島さんも切り倒した木に引っ張られて滑落。肋骨と肩甲骨を骨折し、1ヵ月半ほど休業したこともある。
 「幸い、体はすっかり元通りですが、骨折した箇所が痛む日もありますね」。
 また、山の夏は暑く、そして冬は寒い。特に夏場は暑さに加えて、蜂や山蛭といった様々な生物との闘いもあり、なかなかハードな仕事だ。
 「それでも営業マン時代のようにノルマに追われることはないし、ストレスがないのが一番ですよ」。
 林業のやりがいについて聞いてみた。
 牧島さんは、「山がきれいになること」とキッパリ。林業は、やればやっただけその仕事が目に見える。きれいになった山を見るたびに、手入れしたなぁという充実感が湧いてくるという。
 「帰ってきて良かった…」。
 周囲の山々を見渡しながら、穏やかな笑顔を見せる牧島さんだ。
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山の斜面には、大雪で倒された大木が手つかずのまま残されている。木を運び出し、新植するための作業が続けられている。
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集めた木をチェーンソーで所定の長さに切り揃えていく。
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通常は、3〜4人で現場に入る。チームワークは完璧だ。
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斜面から下ろされた木は、グラップル付バックホウで次々に積み上げられていく。
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【No27(2015年夏号)掲載】
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