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農業で就職? それとも、農業で起業?
〜農業への情熱を支援する国の施策〜
「自営で就農を果たす」
鹿児島県・指宿市
(株)カマタ農園
鎌田嗣海さん
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開聞岳の麓に広がる鎌田農園。
就農3年で17ヘクタールに拡大 地元で期待される若き農園主
 「薩摩富士」の愛称で知られる開聞岳を仰ぎ見つつ、17ヘクタールの畑でキャベツやレタスを栽培する鎌田嗣海さん。3年9カ月前に建設業から転身し、地元の鹿児島県指宿市で新規就農を果たした。
 当初は青年就農給付金(経営開始型)を利用していたが、わずか2年で卒業。「1年目は無収入だったので助かりました。給付金は全てトラクターの頭金にしました」という。資金繰りの厳しい就農当初に基盤作りに努めたことが成功につながった。
 昨年、「カマタ農園」は法人化を果たし、従業員は10人を超える等、破竹の勢いで経営規模を拡大している。
成功のカギは仲間と立ち上げた共同出荷グループ
 もともと「家庭菜園が趣味で、野菜作りをしていました」という鎌田さん。前職の建設業界は景気が伸びず、転職を考えていた時に好きな野菜作りを仕事にしたいとの思いを強めた。
 短期間で成功した秘訣のひとつは、地域の若手農家たちが共同出荷を目的に立ち上げた「愛菜家グループ」にある。
 「大手チェーン店への販路を確保できたのは、仲間の営業力によるところが大きいです。農業は一般的にイメージする畑仕事だけではなく、営業や経営等を含めた多岐に渡る仕事。その中で自分に向いていることを見極めることが、とても大切だと感じています」。
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指宿市農業委員会の諏訪園一行会長。「指宿は元気のある地域。鎌田さんのように拡大を目指す若い人は、みんなの刺激になっている」と目を細める。
努力とコミュニケーション力が大事
 農業を始めて大変だったことは、「天候に左右されることと、周囲の人々と信頼関係を築くこと。従業員を雇うようになってからは、その人間関係にも気を配っています」。
 そのため“農業に必要なのはコミュニケーション力”というのが鎌田さんの持論だ。
 「農業に向いている人は、まずは頑張り屋さん。そして重要なのは、人付き合いが苦にならない性格で、いろんな人たちと信頼関係を築けること」という。
 さらに、行動することの重要性を説く。「農業は取り組んだ分だけ、収入や経験として還ってくる仕事でもあるので、まずは始めてみることが大事です。漠然とした興味からスタートしても、経験を積む中でやりたいことを見つけることができます」。
 今後の夢として、「まずは、後輩が開店した食事処に自分が育てた作物を卸して、その店を行きつけにすること」と笑う鎌田さん。その仲間思いの性格が、もうひとつの成功の秘訣でもあるのだ。
青年就農給付金
 45歳未満の独立・自営就農者等を対象に年間150万円を給付する国の事業。2012年度から実施。準備型(最長2年間)、経営開始型(最長5年間)合わせて最長7年間が給付期間。
 準備型は、研修終了後1年以内に、独立・自営就農(親元就農の場合は研修終了後5年以内に経営を継承するか農業法人の共同経営者になる)か雇用就農し、給付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、就農を継続することなどが給付要件。経営開始型は、人・農地プランに位置づけられ、前年の所得合計が350万円未満であることなどを要件とする。
 
「農業法人に就職」
新潟県新潟市
(有)ナーセリー上野
代表取締役社長・上野喜代一さん
水稲担当・堀良太さん
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より良い米作りを目指す2人。上野社長(右)と堀さん。
人にも作物にも大事なのは愛情一丸でより良い米作りを目指す
 全国の市町村でナンバー1の水田面積を誇る新潟市。ナーセリー上野は、この米どころに平成5年に設立された農業法人だ。
 「自然を相手に作物を育てていくこの仕事は、他では得られない喜びがある。自分にとっては最高の仕事」と語る上野社長の仕事に対する信念は「自分が育てる作目への愛情と責任感がもっとも大切」。同社には現在、9人の社員が所属しており、農の雇用事業を利用して近々10人目を採用する予定だ。その内訳は農外出身者が多いが、定着率が非常に高く、各社員が意欲を持って取り組んでいる。毎月、月次報告会を開き、経営をオープンにしていることが大きい。
 社員には「農業が好き」という気持ちを忘れず、じっくりと取り組んでほしいという上野喜代一社長。「最終的には社員一人ひとりが経営感覚を持つようにしたい。販売部門ごとに独立採算性をとり、そのリーダーになってほしい」と力を込める。
 そんな期待を受けて、21.5ヘクタールの水田を切り盛りするのは、入社4年目の堀良太さん。上野社長が「何でも体で覚えさせた。ただ仕事するのではなく、自分で計画を立てさせ、後で反省、翌年につなげるように促した」と言うように、2年目から稲作の管理を任され、現在は水稲部門のリーダーを務めている。
 堀さんは今後の目標に「GAPの取得と後輩の育成、販路の拡大」を掲げる。東京で行われた次世代農業者向けのセミナーに参加する等、意欲的だ。
 「農業に大事なのは、とにかくやる気。私は農業大学で学びましたが、実際に現場に出てみると勝手が違うことも多々ある。性根を据えて取り組むしかない」。
 同社は、生産量の7割を自前の直売所「ガーデンプラザ」で売り切るほど、地元の消費者とのつながりが強い。堀さんには、生産するだけではなく販売する側に立った考え方も求められている。
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「特選こしひかり」「カモ農法こしひかり」等のバラエティパック。
まず浮かぶのはお客さんの笑顔
 ナーセリー上野の将来像を思い描くとき、上野社長の脳裏に浮かぶのはお客さんの笑顔だ。
 「自分が良い行いをすれば、周りにも良い影響を与え、ひいては会社自体も良くなっていく。会社の規模を大きくするより、今の環境で切磋琢磨しながらより良いものを作り、お客さんに美味しく食べてもらいたい」。
 アカシヤの木々に囲まれた立地を活かし、今年から養蜂にも取り組み始めたという同社。今夏から、直売所にはハチミツが並ぶ予定だ。その瓶には、「人を喜ばせたい」というナーセリー上野の思いが詰まっている。
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直売所には様々な加工品が並ぶ。
農の雇用事業
 農業法人などが新たに雇用した正社員(雇用就農者育成タイプ)や法人設立による独立希望者(法人独立支援タイプ)へ、就農に必要な技術・経営ノウハウなどをOJT研修することに対して、研修生1人当たり年間最大120万円を助成する国の事業。08年度から実施。雇用就農者育成タイプは最長2年間、法人独立支援タイプは最長4年間を給付する。
 前身の先進経営体実践研修活動を含め全国農業会議所が実施主体。都道府県農業会議が窓口業務や現地確認を担当する。研修生の過去の農業従事経験が5年以内で、雇用・労災保険に加入させることなどが要件。
 
【No27(2015年夏号)掲載】
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