ここから始まるI・J・Uターン

数十年先を見据えて日々山へ
林業振興でまちを元気に
[高知県本山町]川端 俊雄さん
Profile:地域おこし協力隊歴2年6ヵ月
林業で起業を目指す人のモデルケースになれれば
大阪府東大阪市出身。美術系の専門学校を卒業した後、塗装や造型物を製作する仕事に従事する。40歳を境に「一生続けられる仕事」として林業での起業を目指し、本山町の地域おこし協力隊に。趣味はサーフィン、旅行など。
川端 俊雄さん
中吊り広告が運命を変えた!
ペンキ屋から一転林業へ

 第一次産業に就業している人の多くは、親や親類等に農林漁業者がいたり、出身が農山村であったりするケースが多いが、現在、高知県本山町で総務省の地域おこし協力隊として林業に携わる川端さんは、かなり異色だ。
 「もともとはイラストレーター志望だったんですが挫折しました(笑)」と川端さんは学生当時を振り返る。
 塗装や造型業に従事する中、たまたま大阪の電車内で目にしたのが「移住相談会」の中吊り広告。その会場で地域おこし協力隊のことを知り、林業の道に進むことになった。
 「旅行が好きで、海外を含めてあちこち旅行しましたが、高知は人情味があり、暖かい地域だという印象が残っていたので、本山町への移住を決めました」。
 林業を選んだ理由は、かつて奄美大島での林業体験が強く印象に残っていたという。
 「松くい虫を薬剤で駆除する仕事でした。それこそ“道なき道”を、赤くなった松を目指して進んで行くのですが、何とも言えない気持ち良さがありましたね」。
 また、一生続けられる仕事であることも、林業を選んだ理由の一つだ。
 「塗装関連では、USJといった大手とも仕事をしましたが、深夜勤ばかりだったりと、一生続けられる仕事ではないと感じていました」。
 そして平成25年5月に地域おこし協力隊として本山町へ着任し、林業三昧の日々が続いている。
未来を見据えた仕事、それが林業
林業起業のモデルケースに

 高知県本山町は、林業で起業する人材を協力隊として積極的に採用していることで知られる。協力隊としての勤務は、基本的に月曜日〜木曜日。
 「原則として現場に直行直帰ではなく、朝8時半に役場へ出勤してから現場に向かいます。16時半頃に作業を終え、帰りも一旦役場に立ち寄ってから帰宅します」。
 川端さんにとっての地域おこし活動とは、ズバリ林業の活性化だ。
 「高知は森林率が84%と全国一の県なので、林業の活性化に取り組むことが一番の地域おこしにつながると思います」。
 なお、本山町では、協力隊員の副業が認められているため、林業以外にも農業関係の仕事や昔取った杵柄≠ナペンキ屋のアルバイトなど、いろいろやっているという。
 林業の魅力について、川端さんはその「スパンの長さ」を強調する。
 「今、我々が見ている木々は40年前に植えられたものだし、今やっていることの結果を我々自身が見ることはないかもしれない。そんな仕事は他にありませんよ」。
 将来的には、地元で木材の製材・加工〜流通・販売まで展開する第6次産業的な取組みを目指している。
 「ここには仕事(手入れをすべき山)がたくさんあります。林業を通じて若者たちの就業の受け皿になれればと考えています」。
 本山町から、林業を通じた起業のモデルケースが誕生するかもしれない。
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木材は林内作業車で運び出す。曲がった木は市場で買い叩かれるため、最近はバイオマス燃料用として出荷されることが多い。
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木々の成長に間伐(間引き)は欠かせない。手を入れると山は応えてくれる。
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伐倒した木は枝払いを行うが、バイオマス燃料用は枝を残すことも。
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【No28(2015年冬号)掲載】
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