石川県七尾市 亀井 勉さん
農業歴:1年8か月
- 【かめい つとむ】神奈川県出身。横浜で育ち、東京のリース会社で勤務するなど、首都圏で生活。移住お試し住宅を利用するまでは、農業とは無縁の生活を送っていた。
理想の環境を求めて行動
「お試し移住」で感じたギャップ
「首都圏での生活しか経験したことがなく、農業とも全くの無縁でした」と語るのは、2016年に神奈川県から石川県に移住し、現在は農業法人「株式会社スギヨファーム」で働く亀井勉さん。
亀井さんは横浜で育ち、東京に就職。流通業やリースの会社に勤めた。農業はまだ頭になかったが、漠然と何か違う生活をしてみたいという願望はあった。
「当時は『ものを動かす・管理する』仕事。でも僕は、『自分でものをつくる』仕事をしたいと思ったんです。首都圏から出て、新たなところで暮らしてみたいという気持ちもありました。」
会社員時代の同僚が石川県に移住していたこともあり、東京で開かれた移住の説明会に参加。そこで、石川県の移住お試し住宅(詳細はP8、9を参照)の存在を知り、まずは1週間のお試し移住体験をしてみることを決めた。
利用したのは2月、石川県能登町にある2階建て住宅。ホテルとは異なり、お風呂も自分で沸かして入る。首都圏の生活が長かった亀井さんにとっては、北陸の冬の生活は驚くことばかりだった。
「まず感じたのは気候の違いでした。寒いのは覚悟していましたが、太平洋側の冬と違って雨も多い。あとは車が生活に欠かせないこと。細かいところでいえば、ガソリンスタンドが閉まるのが早い、とかですね。ただ、何よりも食べ物がおいしくて居心地も良かった。1週間という短い期間でしたが、良い面でも悪い面でもギャップを感じることができました。実際に来てみることがいかに大切かを実感しました。」
移住体験をして良かったことは、それだけではない。体験中は、自治体の移住コーディネーターが、地域の様子や移住した場合の仕事・住まいなどを同行して紹介してくれた。現在勤めている七尾市の農業法人も、能登町のコーディネーターからの紹介をきっかけに入社した。「ものづくり」を志していた亀井さんにとっては、就農という選択肢はとても魅力的だった。
その後、岐阜や富山など他県の移住お試し住宅を利用した末、亀井さんは石川県に移住し就農することを決意した。
周囲のサポートで苦労を乗り越え
移住で叶えた「ものづくり」の夢
就農を果たした亀井さんだったが、全く知識経験のないゼロからの挑戦は、苦労が絶えなかったという。
「知識も経験も何もなく、草刈機の使い方さえ分からない。最初は特に大変でした。でも、会社の先輩方はもちろん、県の支援制度など、周囲の人たちのサポートがあったおかげで、少しずつ技術を習得していくことができました。」
亀井さんが移住した石川県では、農業体験から就農後までの段階別の研修支援が多数用意されている。亀井さんが利用したのは「いしかわ耕稼塾・実践科」という就農後の研修制度。働くかたわら、週に1回程度、座学から現地実習まで様々な研修を受けることが出来る。亀井さんは就農後1年でトラクターの免許や農業技術検定を見事取得した。就農して2年が経とうとする今では、2haもの圃場を同僚と共に任されている。
「ものづくり」を志して移住した亀井さんにとって、自身で育てた作物を収穫する瞬間の喜びは格別だという。
「初めての収穫の時には『移住して良かった』と感じました。これから移住を考えられている方にも、『移住して叶えたい夢』を何か1つ持ってほしいですね。それは仕事でも趣味でも良いと思います。僕にとってそれは『ものづくり』でした。やりたいことが明確にあれば、思い通りにいかないことがあっても納得できるし、努力できる。あとは、興味があればまず現地に行ってみればいいと思います。インターネットで調べるだけではわからないことがたくさんありますから。」
一歩を踏み出し、移住お試し住宅を利用して理想の生活に出会った亀井さん。周囲のサポートへの感謝を抱きながら、移住で叶えた「ものづくり」の喜びを堪能している。
「いしかわ耕稼塾」とは
就農準備校に相当する「予科」「本科」「専科」のほか、農業経験の浅い方向けの「実践科」など、経営発展に向け、幅広い研修を実施。移住就農者向けの支援策も充実しています!(本誌P19参照)
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公益財団法人いしかわ農業総合支援機構
TEL:076-225-7621 http://www.inz.or.jp