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移住先の林業学校で基礎を習得
山仕事は難しいからこそ面白い!

高知県仁淀川町 相原 晋さん
林業歴:1年8か月

【あいはら しん】大阪府出身。保育の仕事に従事した後、田舎暮らしを考え林業を志す。高知県立林業学校で1年間学び、2016年4月に株式会社明神林業に就職。

相原 晋さん メイン画像

「林業はやめといたほうがいい」
思わぬ言葉に発奮して林業へ

大阪府で長く児童福祉施設に勤務していた相原晋さんだったが、いつしか田舎暮らしを思い描くようになり、全国森林組合連合会が主催する森も林りの仕事ガイダンスに2015年1月に参加。そこで林業に関する説明を聞いていた時に、ある都道府県のブースで「林業は危険だから、よほどの覚悟がないとやめといたほうがいいよ」という言葉を聞き、逆に興味を持ったという。
「何をするにもお金がいるなと思い、保育の仕事の後に一時期自動車工場で期間工として働いていました。その仕事が体力的にも結構きつかったので、『これができるなら自分はどんな仕事でもできるんじゃないか』と自信を持っていたのに、林業への就職では思いがけない言葉を受け正直カチンときたんだと思います(笑)。とにかく一度体験してみようと思いました。」
そして、高知県土佐町で開催された林業体験に参加し、木が倒れる迫力と危険さを実感。まずはしっかり勉強する必要があると考えた相原さんは、ガイダンスで2015年度から高知県が林業学校を開校するという話を聞いていたこともあり、第一期生として入学。入学当初は一般の賃貸アパートで暮らしていたが、同期生が香美市のお試し住宅を利用しているということを知り、相原さんも入居を希望した。
「家賃が安いし、備え付けの家電があることも助かりました。居心地はかなり良かったです。」
すでに高知での生活に慣れていた相原さんだが、お試し住宅への入居のおかげで仲間と食事を作るなど充実した生活を過ごしながら、林業学校を卒業できた。その後は、林業学校の研修で訪れていた株式会社明神林業に就職し、2016年4月から社員として林業に従事している。

↑伐倒後、道路に横たわる木をひとまず山の斜面側に下ろす。  こうした重機の操縦も林業学校で習得した。

↑伐倒後、道路に横たわる木をひとまず山の斜面側に下ろす。
 こうした重機の操縦も林業学校で習得した。

自然の循環、技術と知識の習得
そして会社の成長のために努力

移住前に、田舎暮らしを考え始めた相原さんは、林業について知るにつれ「森を良くすれば川が良くなり、土砂崩れも減る。山を良くすることが日本を良くするんじゃないかと、漠然とですが考えていました」と、自然の循環を意識するようになったという。そして、安全を確保しながら効率良く作業することは難しいものの、その難しさに挑戦すること自体に楽しさを感じ、林業への関心はより高まってきた。
それでも、相原さんはやる気に満ちている一方で、やはり林業は危険と隣り合わせの仕事であるとして、他人に簡単には勧められないとも話す。
「大きな木や石に当たれば″一発アウト〟ですからね。危ない仕事であることは間違いないです。でも頑張れば頑張る分だけ、材を出せば出した分だけお金になることは分かりやすく、やりがいを感じます。」
安全に関して、相原さんは特に強く気を使っている。一度、切っている途中で木の幹が縦方向に割けたことがあったという。割り箸のように縦に割けた木は、重みに耐えきれなくなったところで折れ、真下に落下する。すぐに逃げて事なきを得たが、割けていくスピードが思いの外速いことに驚いたと話す。
危険を語りながらも、仕事として見た林業に関する相原さんの口調は明るい。
「会社は従業員に対して『いつかは自立しろ』という方針です。確かに自分の山を持って自伐型林業ができるようになりたいという思いもあるけど、今は会社が管理する土地が広がっている途中で、これからどうなるのかを見たいという気持ちが強い。もっと知識と技術を身につけて、会社が大きくなる原動力になれたらと思います。」
林業は、取り扱う対象が「木」である。その大きさと、山の中という環境のため、物流に課題のあることが多い。しかし明神林業はその点をクリアし、積極的に山を買い増すことで事業の拡大を進めている。「安い外国産木材に押される一方」という日本林業の固定観念を打ち砕く活躍ぶりだ。
移住した仁淀川町という土地で、個人としても、組織としても日々成長を感じる環境で、相原さんの挑戦は続く。

↑枝が絡むなどして倒れない木を、フェリングレバーと呼ばれる道具で回転させて倒す。

↑枝が絡むなどして倒れない木を、フェリングレバーと呼ばれる道具で回転させて倒す。

↑取材日に作業していた現場のメンバーと。

↑取材日に作業していた現場のメンバーと。

担当者の声

移住先のお気に入り風景