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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

漁業に就くには?

「漁師って憧れるよな」そんな気持ちに一度でもなったことがあるなら、漁師という職業をもっと身近に考えてみては? 「漁師はツテがなければできない」とあきらめることはない。これまでまったく漁業に関係ない人生を歩んできた人でも、漁師になるチャンスはある。
そのサポートをしてくれる機関が全国漁業就業者確保育成センターだ。
これから漁師を目指す人に、必要な情報を提供したり、研修を行ったり、講習会を開いたりしている。一口に漁師といっても漁法や魚種は多種多様。まずは、全国漁業就業者確保育成センターが発信する情報の収集から始めてみてはどうだろうか。

まず、情報収集

・全国漁業就業者確保育成センターの…

→ホームページを見る
→パンフレットを入手する
→話を聞く

などして、漁法や魚種、地域、漁業についてよく調べる。就業者の体験談なども参考にしながら、自分が目指す漁業を見きわめていく。沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業はそれぞれライフスタイルが全く違うので、その点もよく考えよう。
●全国漁業就業者確保育成センター
http://www.ryoushi.jp/

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行動を起こす

・漁業チャレンジ準備講習会に参加する。
・漁業就業支援フェアに参加する。
・求人情報をあたる。

→全国漁業就業者確保育成センターのホームページ、
船員求人情報ネット、ハローワーク、就職情報誌などで探す。
→各地にある漁業就業者確保育成センターや全国の漁協などに、直接問い合わせる。

沖合漁業・遠洋漁業

船に乗る

・漁業会社の乗組員としてスタート。甲板部か機関部の新人として働くが、いずれも中心となるのは漁労作業。

→甲板員は、漁労作業、船の運航保全、見張りなどを行う。
→機関員は、エンジンの操作、保守点検や修理などを行う。

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まずは、船員としてキャリアを積み、必要な資格を取る

・船長や機関長になるには三級海技士の資格が必要。水産高校などを経ていない人も3年以上の乗船履歴があれば受験できるので、自分の目指す先を見きわめて勉強しよう。

→甲板員なら航海士の資格(海技士・航海)を目指して勉強しよう。
→機関員なら機関士の資格(海技士・機関)を目指して勉強しよう。

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船のリーダーになる

・漁船の船団の最高責任者は漁労長。尊敬を込めて大船頭(おおせんどう)とも呼ばれる憧れのポジションだ。船長がその船の運航についてのみ指揮を執るのに対し、漁労長は漁の指揮、船の運航などすべてをとりしきる。最近では船長が漁労長を兼ねることが多い。

沿岸漁業

漁師になる

・個人経営の漁師の見習いや養殖業の新人として働く。
・定置網、巻き網、底びき網など比較的大きな船の乗組員として働く。

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漁師のキャリアを積み、必要な資格を取る

・漁法や漁業技術はその土地により異なる。地域の漁業者としてキャリアを積もう。
・漁協の組合員になる要件を満たす。
→「年間90~120日以上漁業を行った実績」「その土地に定住して漁業を続ける意志がある」「漁協の理事会の承認」などあるが、地域によって条件が異なるので、よく聞いて確認しよう

・必要に応じて船舶免許、漁業無線等を取得する。

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独立して、自分の船を持つ

・船を持つには資金が必要だ。小さな船でも数百万円はするし、中古船を安く譲り受ける場合でも整備などに費用がかかるので、独立を目指すなら資金を準備しておこう。
・地域や漁業の種類によって、必要とされる知事の許可等を取得する。

漁業は大きく分けて3タイプ

日帰りの沿岸漁業

漁場
基本的に日帰りできる場所。「目の前の海で捕る」という、古くからあるもっとも一般的な漁業だ。

操業日数
日帰りだが、早朝に出航して昼頃戻ってくる漁や、夕方出て翌朝帰ってくる漁、あるいは昼間に行う漁など、操業時間帯はさまざま。魚に合わせて働く。

漁法
主な漁法は、定置網/中型巻き網/小型底びき網/養殖/一本釣り/刺し網/採貝・採藻だが、地域によってもさまざまな漁法がある。ほとんどの沿岸漁業者は個人経営で、従業員は家族の場合が多い。1~2名の乗船で外洋に出ないため、船は小さい。日本の漁師の85%が沿岸漁業者。

少し遠出する沖合漁業

漁場
日本近海の沖合いがほとんどだが、範囲は広い。港から数時間程度の近場もあれば、漁によってはロシア水域の一部にまで及ぶ。

操業日数
漁場までの距離や漁法、捕る魚によってかなり幅がある。巻き網漁が1~2日、イカ釣り漁で4~5日。底びき網漁は、日帰り操業もあれば2週間程度の操業もある。

漁法
主な漁法は、大中型巻き網漁/沖合底びき網漁/沖合イカ釣り漁/近海マグロ漁/近海カツオ漁/サンマ棒受網漁。比較的近場で操業する船は、人も食料も多くは積まないので、20~30トンくらい。何十日も外洋の荒波にもまれる船は、120~140トンになる。

地球の裏側まで行く遠洋漁業

漁場
赤道直下の太平洋からインド洋、ニュージーランドやアルゼンチン近海の南太平洋、さらには北大西洋からアフリカ近海まで、まさに世界の海が仕事場。

操業日数
漁場に到着するまで10日~1カ月かかる(船だけ先に行かせて漁師は飛行機で移動することもある)。一度出航すると、短くて1カ月、長ければ1年半は戻ってこない。定期的に近くの港に寄り、休養する。

漁法
主な漁法は、遠洋マグロ漁/遠洋カツオ漁/大型イカ釣り漁。「長い日数をかけても採算の合う魚」ということで、マグロとカツオが2本柱。長い航海で大量の魚を積み込むため、船は非常に大きい。遠洋マグロ船が200~500トン、遠洋カツオ船で400~500トン。

代表的な漁法

巻き網? 刺し網? 定置網? 耳にしたことはあっても、実際どのような漁なんだろう? ここでは代表的な漁法をイラストで紹介しよう。もちろん、漁法はこれだけではなく、マグロ延縄やカツオ一本釣りなど魚によって特定の漁法もあるし、地域ごとの伝統漁法もある。魚にさまざまな種類があるように漁もまた多くの方法が発達してきたのだ。

採貝・採藻

採貝・採藻海に潜ったり、海底を探索したりして、貝や海藻を採る。場所や種類によってさまざまな方法がとられる。コンブなどの藻類やアサリなどの貝類を、かぎ、はさみ、鎌などの道具を使って採ったり、アワビやサザエなどを素潜りで採取する方法などがある。

養殖

養殖魚や貝、海藻をいけすなどに入れて、出荷可能な大きさに生長するまで人工的に育てる。海水での養殖は、ハマチ、カンパチ、タイ、フグなどの魚類、カキ、ホタテ、真珠などの貝類、海苔、ワカメ、コンブなどの藻類がよく知られている。他の漁業のように船に乗る危険はないものの、消費者の目が厳しくなるなか、品質管理などの努力を要する。

定置網

定置網回遊する魚を海底に固定した網の中へ誘導して捕らえる漁法のこと。海中を泳ぐ魚は、定置網本体から外へ伸びた垣網にぶつかると、それに沿って囲い網に入り込む。サケ、ブリ、アジ、サバなどの回遊魚を捕るのに使う。大きく分類すると3種類あり、水深のあるところで広範囲に行う大型定置網、沿岸近くで行う小型定置網、北海道でサケ専門に行われるサケ定置網がある。

刺し網

刺し網海中に網を張り、通過しようとする魚をひっかけ、絡め捕る漁法。魚の種類によって、網目の大きさや網を張る深さが異なる。タイやヒラメ、イセエビなどを捕ることができる。目印として海面に浮きや旗が立てておく。波などで見えづらいこともあるため、海面近くに設置されている場合には絡網しないよう注意が必要となる。

巻き網

巻き網魚の群れを見つけたら、網を張って囲い込み、底から網を絞るようにして漁獲する漁。魚群を探す探索船、網を積んだ本船、獲った魚を港へ運ぶ運搬船がチームとなって行う大がかりな漁だ。漁探などで魚郡を探し出すと、投網から水揚げまで一連の作業を一気に行う。主に、イワシ、アジ、サバ、カツオ、マグロなどを獲る。

底びき網

底びき網2本のひき綱の付いた網を海底に沈め、船でひきながら、魚介類を捕る。ひき綱を長くして、できるだけ広く網を張り、船の速度を落としてゆっくりと寄せながら魚介類を集めてひき揚げる。海底にすむカレイやヒラメ、貝類、エビ類を捕るための漁。主に2隻で行う沖合底びき網と1隻で行う小型底びき網がある。