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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

地域に根差したJAならではの新規就農支援(JA石川かほく)

耕そう、大地と地域のみらい。

募集から就農・定着までステージに応じてサポート
地域に根差したJAならではの新規就農支援

地域の農家が協力し合い、農産物の販売や資材の共同購入など幅広い活動に取り組むJA(農協)が、各地で新規就農者の育成に力を入れている。
JAの就農支援なら、農業者の組織が農地や資材の確保、栽培技術など生産から販売までトータルで支援・相談にのってくれるとあって、注目度が高まっている。就農への熱い思いに応えてくれるJAの取り組みと、努力を重ねて独立就農した先輩たちの声を聴いた。

キャラクターの笑味ちゃん

石川県 JA石川かほく

石川県のほぼ中央、金沢市のすぐ北に隣接した地域のかほく市・河北郡2町(内灘町・津幡町)を管轄するJA 石川かほく。地域の豊富な農産物の中でも、かほく市高松地区の「高松ぶどう」が特産品の1つ。2019 年に栽培開始から100 周年を迎えた、歴史あるブランド農産物となっている。
そんな伝統ある産地を維持・発展させていくために、JA石川かほくは地域の生産者や自治体と協力し、新たな担い手の確保・育成支援を熱心に行っている。樹の育成や施設設置などに多くの時間と資金がかかり、新規参入が難しいイメージがある果樹農業。しかし、農地の確保や技術の伝承などに地域が一体となって取り組んだ結果、ここ5年で7人の新たな高松ぶどうの担い手が生まれている。


石川かほく農業協同組合
〒929-0326 石川県河北郡津幡町清水チ329 番地
tel  076-288-3331  http://www.is-ja.jp

JA担当者へのインタビュー

JA石川かほく 営農企画課 櫻井和幸さん

〝魅力ある産地づくり〟で、
歴史ある高松ぶどうを守りたい
「高松ぶどうは、多くの生産者の方たちが作りあげた、地域を代表する歴史あるブランドです。それでも、担い手の減少により、少しずつ産地が縮小していってしまうのではという危機感を持っていました。子供から年配の方まで幅広い方に親しまれる高松ぶどうを、次の世代にも受け継いでいきたい。そのために、より魅力のある産地づくりに改めて取り組んでいこうと考えました。」

生産者、JA、行政、関係機関…
地域が一体となって就農者を支援
「産地の発展には、担い手の増加は欠かせません。日頃から生産者を訪問しているので、高齢等により栽培を辞めざるを得ない圃場があるといった話はたまに耳にしていました。そうして集めた情報を地図に落とし込み、新規就農希望者が出てきた際、貸し手と借り手とのマッチングに活用できるようにしました。地図の作成や就農希望者の情報収集、移住者への住宅の手当などは、もちろんJAだけではできません。県や市、関係機関の皆さんと一体となって、産地の活性化を目指しました。」

篤農家と新規就農者との橋渡し役
JA職員だからこそできること
「新規就農者、特に移住者の方は、知識や経験がなく、最初は不安なことも多い。地域にスムーズに馴染んでいけるよう、生産者の先輩方への“顔つなぎ役”となって寄り添うことを大切にしています。品質の良いブドウを生産するには高い栽培技術が必要です。技術を細かく伝えることには限界があるので、技術を持っている生産者と新規就農者が関わりを持てる機会をできるだけ作ろうと意識しています。先日開催した高松ぶどう100周年を記念した式典にも、実行委員として若手の生産者にも入ってもらいました。“産地を守りたい”というのは、生産者の皆さんに共通している想いです。若手もベテランも一体となって、これからもより品質の良い高松ぶどうを、多くの方に届けていきたいですね。」

 

↑ JA 石川かほく高松集出荷場。特産の高松ぶどうや紋平柿が出荷される

新規就農者へのQA

就農してみて、大変だったことは何ですか?
やはり技術の習得ですね。私は就農したのが40歳を過ぎてからで、高松ぶどうを始めてからは5年目。作り方にマニュアルなんてないですし、今でもわからないことばかりです。移住者の私ですが、ありがたいことに周囲の方に少しずつ教えてもらいながら、日々頑張っています。「一生一年生」とは、先輩農家に教えてもらった言葉ですが、本当にその通りで、高い品質を求めて毎年工夫を重ねる努力が大切なのだと実感しています。

JAの支援で特に助かったことは?
圃場を借りる際、櫻井さんが貸し手の方との顔合わせから立ち会ってくださり、地域にスムーズに入れるよう後押ししてくれました。こうして伝統ある高松ぶどうを作れているのは、地域の皆さんとJAさんのおかげです。今でも定期的に畑を見に来てくれて、資材の情報や出荷の仕方、売り方の指導など、あらゆることで本当にお世話になっています。プライベートでも子供の陸上教室で一緒だったりして、困ったことがあったら何でも相談ができる、とても心強い存在ですね。

農業をやる上で大切なことは?
地域の方との関わりは、欠かせないことだと思います。台風が迫ってハウスのビニールをはがさないといけない時に、周囲の先輩方が気づいて、その作業を一緒に手伝って下さったことがありました。生産者仲間同士の技術の研究会にも入らせてもらったり、日々のコミュニケーションを通じて勉強させてもらっています。

これから就農を目指す方へのメッセージをお願いします。
就農するからには、「この地域で一生やっていく」という覚悟が必要かもしれません。5年、10年やっても、きっとわからないことだらけの世界ですし、それがやりがいでもあります。覚悟があることで、きっと少しずつ地域にも馴染んでいくのだと思います。私も日々頑張って、「中川さんちのブドウ、おいしいね」と、たくさんの方に言ってもらえるようになりたいですね。

かほく町


中川 真さん 50歳

大学卒業後、関東のコンサルタント会社に勤め、44歳の時に出身の金沢市にUターン、農業を開始。就農2年後にかほく市で圃場を借り、念願だった高松ぶどう(デラウェア)の栽培をスタート。現在はかほく市に移住し、規模も約1haまで拡大している。

 

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