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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

地域を牽引する若者の力
家族一丸となって農業経営

長崎県大村市 佐々木 慎吾さん
(36 歳) 農業歴: 6 年

【ささき しんご】北海道出身。高校卒業後は北海道の自衛隊駐屯地で6年間勤務したのち、運送会社へ転職。さらに3年後、妻の益美さんの祖父母の家がある大村市に家族で移住。益美さんと3人の子供たちの5人暮らし。

妻の出身地大村市に家族で移住
上手に制度を活用して経営を軌道に

長崎県大村市に移住し、「佐々木農園」を営み始めて6年目になる佐々木さん夫妻。現在は、ミカン80a、キュウリ8aを中心に順調に経営している。
夫の慎吾さんは北海道出身で酪農家に生まれ育つ。高校卒業後は地元北海道で自衛隊や運送会社での仕事を経験。移住を決めたきっかけは、妻・益美さんの叔父の「将来的にミカン農園を受け継いでほしい」という声だった。もともと農業大国北海道で生まれ育った慎吾さんは、農業には変わらず関心を持っており、これを機に一大決心したという。
そんな佐々木さん夫妻がミカン農園を継いだのは今年になってから。新規就農したばかりの頃は、生長が早く比較的栽培しやすいキュウリを選択し、経営を安定させるために地道な努力を重ねた。
右も左も分からなかった当時、利用したのは長崎県が実施している農業研修制度。2カ月の基礎技術研修と10カ月の受け入れ農家派遣研修を受講し、農業の基礎知識や農業機械の扱い方などを身に付けた。
資金面では、農機・資材の購入や農地の借り入れ等、就農初期に必要なことは数えだすとキリがないが、農業次世代人材投資資金を利用して年間150万円の支援を受け、なんとか生活を安定させた。
「一番大変だったことは、やはりお金の問題。作物が出荷できるようになるまでは収入がないため、軌道に乗るまでは妻にアルバイトを兼業してもらうこともありました。大変なことも多々ありましたが、大村市の皆さんの支えもあって、ここまでやってくることができました」

↑「代々受け継いだミカン農園を守り、つないでいきたいです」と話す益美さん

↑高台から見るミカン農園

長崎県新規就農相談センターと協力して、新規就農希望者に向けた研修会の講師としても活躍する慎吾さん。研修会は年間2~3回開いており、1回当たりの参加者は20人ほど。これまでの経験を生かして、就農の難しさやキュウリの育て方のコツなどを分かりやすく説明している。毎回、積極的な質疑応答が飛び交い、気が付くとあっという間に予定時間を迎えてしまうそうだ。
「研修会がきっかけで大村市へ新規就農を決めてくれる若者もいます。地域の農業を盛り上げる一因になっていると思うと、本業の農業経営に負けず劣らずやりがいと責任を感じますね」と慎吾さん。
こうした活動が功を奏して、佐々木さん夫妻を皮切りに大村市への移住者は徐々に増えている。一例だが、佐々木さん夫妻が移住したばかりの頃、JAながさき県央中部地区キュウリ部会の構成員は10戸しかなかったが、今では18戸にまで広がった。今後は、新規就農を目指してキュウリ栽培の研修中の3人がさらに加わる予定だ。
実際に大村市に新規就農した人からは「一から就農した先輩たちが、生き生きと人生を歩んでいる姿が魅力的で就農を決意した」との声もあがった。
「農業で生計を立てるのは、楽なことばかりではありません。私たちがそうだったように、地域の相談窓口や近隣の農家さんたち、そして家族の支えが必要です。色々な人たちから情報収集して、自分たちに
とって助けになる制度を利用することが大切です。就農当初は特に苦難も多いですが、それを乗り越えれば、農業は自分のペースで自由に進められる魅力的な仕事ですよ」
新たに農業を志す人たちに向けてそうアドバイスを送る佐々木さん夫妻。
そんなお二人の今後の目標は「自分たちの直売所を持つ」こと。今年からは、これまで経営してきたキュウリやダイコン、ブロッコリーに加えて、ミカン農園も切り盛りしていくことになる。これまで以上に忙しい日々を送ることになるが、いずれは「佐々木農園」ブランドの農産物が、大村市をはじめ、全国各地に送り届けられるようになるよう日々の仕事に励んでいる。

 

★支援者の声★
就農後3 年目には目標所得を達成し、今では新規就農希望者への講師
としても頑張っています。佐々木さんが長崎県技術習得支援制度の研修生だった頃から知っていますが、受け入れ先の農家から「すぐにでも就農できる」と言われるくらい優秀でした。今後も佐々木卒業生の成長と活躍を見守っていきたいですね。
長崎県新規就農相談センター 相談員
中島 義信 さん

★長崎県の新規就農支援★
長崎県新規就農相談センターでは、農業の担い手を確保・育成することを目的として、新規就農者への支援や就農相談を行っている。新規就農希望者が長崎県で就農するまでに必要な情報がワンストップで提供されているので、興味のある方は相談してみよう。

(公財)長崎県農林水産業担い手育成基金
(長崎県新規就農相談センター)
TEL:0957-25-0031