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地域の人たちと協力しながら
ハーブ農園の成功を目指す

石川県津幡町 坂野 温さん
地域おこし協力隊歴2年4ヵ月

河北潟のハーブで新しいライフスタイルを提案したい
石川県かほく市出身。大学時代までは建築について学んでいたものの、自分が本当にやりたいことを見つめなおした結果、地域おこし協力隊の隊員に。趣味は陶芸や日曜大工等、“ものづくり”全般。

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建築家になる夢から方向転換
河北潟を舞台に積極的に活動中!

金沢平野の北部に約1100ヘクタールの農地が広がる河北潟は、昭和38年の干拓事業によって生み出された干拓地だ。ぶどうやレンコン、キャベツ等の畑作や酪農が盛んなこの地域の中心部に、ハーブ農園「ペザン」がある。平成14年、代表の俵朝子さんが河北潟の自然を活かしたハーブ栽培を志して営農を開始した。
約1・8ヘクタールの農園で約30種類のハーブ栽培に取り組むのは、協力隊(農水省の「旧田舎で働き隊」)の坂野さん。河北潟ハーブ文化協議会の研修生になって3年、任期の最終年を迎えた。活動は、栽培から商品開発、イベントの企画と多岐に渡る。この日も間近に控えた収穫祭を前に、関係者と打合せを重ねていた。
「ハーブは色んな食材の良さを引き出す植物です。そんなハーブを栽培する私自身も、色んな人と協力したいと考えています。収穫祭では、河北潟の農家が色んな作物を販売します。ペザンで知り合ったアーティストによるライブも企画しています」。
河北潟を舞台に積極的に活動する坂野さんだが、元は全く違う道を歩いてきた。
「建築家になるのが夢で、地元の高等専門学校では建築の勉強をし、大学時代は東京で、まちづくりを学びました」。
しかし、建築について学ぶうち、心中にある違和感が生じてきた。
「大学の授業で、過疎地域の解決には何が必要かを考えていたのですが。それはとても、部外者が一朝一夕でできることではないな、と。地域に骨を埋める覚悟がある人でなければ、変えられないと思いました」。

ハーブ栽培を通じて繋がる人と人
新たなビジネスモデルを作りたい

地元にUターンした坂野さんは、昼間は肉体労働、夜間は設計事務所のバイトで図面を引くという二足の草鞋を履きつつ、1年を過ごした。「建物を造るより、その中に暮らす人々のストーリーに関わりたい」と考え始めた坂野さん。高専時代の恩師に相談したことがきっかけで、俵さんの元で協力隊として活動を始めることになった。
「ハーブ栽培と聞き、直感的に面白そう、と思いました。商品開発までやれたら、人々の暮らしに新たな提案ができる」。
1年目は俵さんに教わりつつ、ハーブの種類を覚えることから始まった。リラックス効果の高いラベンダー、料理に爽やかな香りをプラスするレモンバーベナ、肉料理をワンランクアップさせるコモンセージ……。それぞれの特徴から栽培方法まで学び、これまで80種類を超えるハーブを育てた。
今では、ペザンには色とりどりのフリーズドライハーブやバスハーブ等、坂野さんがデザインしたアイテムが並ぶ。チラシやパンフレット、店内の机やイスまで手掛けるこだわりは、建築を志した時代に培ったセンスの賜物だ。
「任期後もみんなにハーブを知ってもらえるような活動を続けます。地域の人たちと協力して模索しながら、ハーブの新しいビジネスモデルを作りたいです。誰もやったことがないからこそ、実現させたい」と語る。

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