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海のある暮らしを実現すべく
海女の世界に飛び込んだ

長崎県壱岐市 大川香菜さん
漁業歴:3年

【おおかわ かな】岩手県陸前高田市生まれ。漁師の父を持ち、幼少期から海が生活の一部と言える環境で育つ。都会で会社員として働いていたが、常に想いのあった〝海のある暮らし〟を実現するため、壱岐市の地域おこし協力隊の海女募集に応募する。壱岐で出会った地元漁師の漁志さんと結婚後、目標であったゲストハウスを開業し、海女と女将を両立して活躍している。

海のある暮らし メイン画像

会社員勤めをしていた頃から「いつかは!」と思っていた仕事

壱岐は九州の北西部、玄界灘上に浮かぶ島、福岡県と対馬の中間にある。対馬暖流の影響で温暖な海洋性気候が特徴で、春の訪れを知らせる強い風が吹く「春一番」は元々、壱岐の漁師たちによる呼称がそのまま気象用語として使われるようになった。
壱岐では春の風物詩と言える海女たちのウニ漁が解禁を迎えている。壱岐は今でも海女漁が盛んな地域で、ウニの他、アワビやサザエなどが捕れる。そんな海女になりたいと、平成25年に地域おこし協力隊として壱岐に移住してきたのが大川香菜さんだ。
岩手県陸前高田市の沿岸部で生まれ育った大川さんは、服飾の専門学校への入学を機に上京。専門学校卒業後は都内の大手アパレルメーカーで勤務していた。しかし、子どもの頃から海がすぐそばにある生活を送っていたということもあり、漠然としたイメージではあるが「いずれは海に近いところで生活したい」という考えを抱いていた。漁師の妻になることや、素潜りといった仕事に興味を持っていたが、「今の東京での生活を考えると現実的ではない」という思いから積極的に漁業の仕事を探すような行動は起こしていなかった。ところが、平成23年に起こった東日本大震災を機に両親とともに長崎市へ移住することとなる。この移住が大川さんの背中を押し、漁業に就業することとなった。
当初、長崎でも海に関わる仕事ではなく、百貨店に勤務していたのだが、海に近い環境だったということもあり「これまで働いてきた服飾の仕事よりも、海での生活がしたいという気持ちが強くなり、そこから海の仕事を積極的に探し出しました」と漁業への熱意は高まっていった。約1年後、壱岐市が地域おこし協力隊として「海女の後継者」を募集していることを知り、応募したのだ。

海女の活躍

壱岐島では80 名ほど海女が活躍する。

毎日自然と触れ合うことで心も体もリフレッシュできる

始めは離島ということに多少の不安はあったというが、それよりも「海女になりたい」という強い意志が勝った。しかし、平成25年に仕事を始めて意外に感じたのが収入に関することだったという。「海女漁だけで生活していけるというイメージを持っていたのですが、1年間生活していくだけの収入は得られないことに就業前のイメージと違いがありました」。協力隊の任期は3年で任期中は給料制となるが、任期終了後は自分の力で収入を確保することになる。壱岐の場合は5月から9月が漁期。半年足らずは海に潜れず十分な収入は得られないことを実感した。だが、好きな海女を続けるため、壱岐で出会った夫の漁志さんとゲストハウス開業に向けて準備をスタート。今春から海女漁とゲストハウス運営を両立している。漁志さんとの出会いは協力隊として採用が決まったときに、協力隊の関係者から「海士をしていて海に詳しく、友達も多く頼りになる人」として紹介されたのがきっかけ。その後交際に発展し、平成26年に結婚した。
東京で働いていた頃は仕事のストレスや、不規則な生活から体調を崩しやすかったそうだ。しかし、海女は身体が資本となるため、規則正しい生活を送るなど体調管理に気を使うようになり、以前とは見違えるほど健康になったという。好きな仕事に行けばストレス発散になり、波が高ければサーフィンに行くなど、毎日自然に触れ、心身ともに健全な日々を送っている。食事も島の旬で新鮮な食材が手に入るので、自炊して美味しいごはんを楽しむなど、島にきて4年目となる壱岐での生活も板についている。
「漁業の世界で働くというのは苦労もありますが、海が好きならそれ以上に楽しいことなど良いところがあると思います。漁協などで下調べして、しっかりと計画を立てて挑戦してほしいです」と語る大川さん。20代という若さで〝脱サラ〟し、憧れの海女という仕事に飛び込んだ彼女は、やりがいや誇り、壱岐での生活の充実感に満ちあふれている。

漁場

家から車で約5 分のところに漁場があり、1 ~ 2 時間ほど海に潜ってタライ2杯分程度のウニを漁獲する。

みなとやゲストハウス

漁後は「みなとやゲストハウス」の女将として働く。ウニかき体験など海女を活かしたイベントも開催。

大川さんが捕った新鮮なウニ

大川さんが捕った新鮮なウニは、ゲストハウスで食べることもできる。

大川 漁志 さん

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