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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

自ら切り開いた漁業への道
社長と先輩に支えられ、一人前の漁師を目指す

福井県福井市 池上 魁人さん
(19 歳) 漁業歴:1年

【いけがみ かいと】 幼い時から家族と釣りを楽しんでいた池上さん。高校生の頃にはかなり釣りに没頭し、好きなことを仕事にしたいと思い、漁師を志す。

漁師への道を切り開くために
家族を連れ漁業就業支援フェアへ

海も山もある神戸で生まれ育った池上さん。幼少の頃に始めた魚釣りは、高校生になるとアルバイト代の大半を釣りにつぎ込むほどにのめり込む存在となった。元々自然や体を動かすことが好きだったこともあり、誰に言われるでもなく漁師という将来を意識するようになった。ところが進路指導担当の先生に意向を伝えても、「本当に?」と軽くあしらわれ、まともに取り合ってもらえなかったそうだ。
興味のない仕事に就いてもおそらく長続きしない。やってみてダメだったら帰ってくればいい。そう考えた池上さんは就業に関する情報収集を開始。大阪で「漁業就業支援フェア」が開催されることを知ると、家族を連れ会場を訪れた。そこで出会ったのが有限会社 上野漁業の上野社長だ。
「何社か話を聞く中で決め手となったのが、上野漁業のアットホームでファミリー感が強いところ。そして、自治体が用意している支援の差でした」と池上さん。彼は移住するに際し、自治体が用意する支援について細かく比較し、検討を行ったそうだ。
一例を挙げると、県は新規漁業就業者に対して貸付金制度を用意(単身者の場合は年間最大132万円(3年間)※漁業従事後、 5年経過した場合は半額免除、10年経過した場合は全額免除となる)。さらに、福井市は農林水産業に就くU&Iターン者に対して奨励金を交付しており、市内に在住することを条件に、初期費用として年間30万円(2年間)の交付を行っている。
池上さんは上野社長の配慮で社長宅に住み込みをさせてもらっているものの、最初の1年は見習い扱いなので給料は少ない。念願の漁業に就けたとはいえ、新天地での生活、仕事を継続させるためにはお金(支援)は重要な要素だ。事前に支援について細かく比較し、検討した池上さんの努力は実を結ぶこととなった。

泣きながら親に電話した夜も

池上さんが所属する上野漁業は底引き網漁を操業しており、季節に応じて甘エビや越前ガニなど水揚げする内容が変わる。出漁は基本的に夜中で、帰漁はその日の夕方。時には沖で停泊し、翌日の夕方に帰漁となることもある。子供の頃から水泳やボクシング、野球などの経験があり、体力には自信を持っていた池上さんだったが、慣れない洋上での作業に体力を削られ、さらに追い打ちをかけるように強烈な船酔いに苦しめられた。体が慣れるまでは辛い日々が続き、泣きながら親に電話を掛けたこともあったそうだ。「でも、すぐにやめると思われたくないし、負けたと思われるのは何よりも悔しいので、その気持ちを糧に今日まで頑張ってきました」と池上さん。
主な業務内容は、全長2キロにも及ぶ底引き網の揚げ降ろしや水揚げした海産物の選別、出荷準備作業。天候不良等による休漁日には網などの漁具のメンテナンスを行うなど、休漁期以外の休みはほとんどない。しかしながらそんな生活を1年も続けていると、技術や知識が自然と身に付いたほか、体力や筋力も増え、お盆や正月に帰省した際には「体格がしっかりした!」と会う人、会う人に言われたそうだ。
ちなみに池上さんが漁師を志した理由の一つは「漁師の特権で新鮮で美味しい海産物が食べられる!」というもの。これまでは冷凍された甘エビやカニがほとんどで、獲れたてを食べたのは漁師になってからとのこと。次元が違う美味しさを味わった時の衝撃は今でも鮮明に思い返せるそうだ。そんな自分が獲った魚を家族が喜んで食べてくれる事が何よりも嬉しく、漁師という仕事にやり甲斐を感じる瞬間だという。

↑鷹巣漁港の中で、ひときわ大きな漁船がこの漁勝丸

漁師になったばかりの頃は夜明けの美しさや、海上から望む白山の美しさに見とれていたが、今、それらは日常の景色の一つになったと池上さんは言う。おそらく、それは彼が福井の地に根付いた証なのだろう。そんな池上さんの目下の目標は、早く一人前になって先輩達のレベルに追い付くこと。それともう一つ、お金を貯めてクルマを購入すること。
上野社長をはじめ、上野漁業の先輩たちに見守られながら日々成長を続ける池上さん。そんな彼にとってこれら目標の達成は造作もないことだろう。

↑全長2キロにも及ぶ底引き網を綺麗に巻きつけるのも仕事の一つ。チームワークも要求される仕事だ

【取材協力】有限会社 上野漁業

平成16 年1月創業。池上さんを含む5名の漁師が漁勝丸に乗り込み、底引き網で福井沖のタイや甘エビ、越前ガニなどを漁獲している。

 

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