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スポーツ選手からの転身 地元に戻って漁師に挑戦
選手生活の引退を期に思い描いていた就漁を目指す

新潟県岩舟郡粟島浦村 髙橋 修さん
(35 歳) 漁業歴: 2 年9ヵ月

【たかはし おさむ】新潟県新潟市出身。北海道大学で水産学を学び、東京都と埼玉県でボート競技の実業団選手を経て漁師となる。

学生時代から「いずれは漁師に」という想いを持っていた髙橋さん。高校、大学で打ち込んでいたボート競技の実業団選手として一般企業に就職し、東京都と埼玉県を拠点とした生活を送っていた。だが、18年間続けてきた競技者生活の引退を期に、「一度きりの人生、やりたいことを優先しよう」と転職を決心。常に思い描いていた漁師へ向けて動き出した。
就漁にあたっては「地元に帰ろう」という強い想いを持っていた。しかし、インターネットで情報を収集したり、新潟県内の水産会社へ連絡するも良い回答は得られず、なかなか思うようにいかない日々が続いたという。インターネットの情報収集だけでは分からない部分が多く、限界を感じた髙橋さんは、新潟県が運営する『にいがた暮らし・しごと支援センター』へ相談に訪れた。相談窓口の担当者から仕事や暮らしについてさまざまな説明を受け、「気になる自治体があれば直接連絡してみてはいかがですか」とのアドバイスも受けた。そして、なんと驚くことに髙橋さんは支援センターを出たその場で粟島浦村役場へ電話したという。
「子供の頃に粟島浦村へ遊びに行ったことがあり、同じ新潟県内なのに自然が豊かで海や空がとても綺麗だった思い出がありました。その思い出が強く残っていて、漁師になるなら粟島浦村で! と思っていたからです」と髙橋さん。
粟島浦村役場へ連絡すると就漁へ向けてトントン拍子に話が進み、お盆休みを利用して見学へ行くこととなった。当日は海の状態が悪かったため職業体験などは残念ながらできず、各種説明と施設等の見学のみとなってしまった。しかし、大きな問題はなく、無事に粟島浦村への移住と就漁が決まった。
粟島浦村の漁は離島であるため、フェリーの時間に合わせて作業を行うのが特徴だ。フェリーの出発が午後なので日の出とともに出港し、午前中に漁、仕分け、箱詰めなどを行っている。現在、髙橋さんは少しでも魚の売価を上げようと、県の技術講習で学んだ神経締めなどを積極的に取り入れている。「仲買人の買取価格に反映された時は嬉しいですね」と、身に着けた技術が評価されるところに一番やりがいを感じると笑顔で話す。
粟島浦村へ来てからは「地域おこし協力隊」としても活躍している。漁師の高齢化や道具の老朽化などさまざまな問題があるが、自分が来たから潰れたと言われないよう、漁果を上げたり、漁師のイベントなどで人を呼んで漁業を盛り上げたいと熱意を持って話してくれた。粟島浦村の漁業を支えていく使命を高橋さんは担っている。

↑手の空いている人を見つけては仕事を教えてもらったり、くっついて回って「ここはどうしたらいいですか?」と聞いて仕事を覚えたという

↑訛りに多少の不安はあったが、「みなさん人当たりが良く、なにしゃ
べってるんですか? と聞けば笑って教えてくますよ」と髙橋さん