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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

自然と向きあえる環境を重視
海への憧れで移住地を決める

長崎県雲仙市 岸本 浩行さん
(22歳)漁業歴:4カ月

岸本 浩行【きしもと ひろゆき】
海のない奈良県生まれ。幼少期は山に囲まれた地域で育ち、前職では介護施設に勤務。二度の漁師体験を経て、今年の2月に株式会社天洋丸に就職。本格的に漁業の世界へ足を踏み入れる。

いざ、漁師の道へ!山から海へ環境を一転
 今年2月に生まれ育った奈良県から長崎県雲仙市に移住し、漁師として働き始めた岸本浩行さん。高校生の頃までは、近所の池や大阪湾へ釣りに行くこともあったが、あくまでそれは趣味やレジャーのレベルだった。自分の進路を見直すために大学を中退した後は、しばらく介護施設に勤務していたが、コロナ禍の中で改めて自分の将来について考えていくうち、自然を相手にした仕事がしたいと思うようになっていった。そんな最中、たまたまハローワークで見つけたのが「漁業就業支援フェア」のポスターだった。

 「私が育った御所市は山に囲まれた地域だったので、海には強い憧れがあり、漁師として働けることを前提に移住先を探しました。最初は大阪府で開催された『漁業就業支援フェア』に参加したんですが、コロナ禍の影響で参加企業や組合が少なかったため、福岡県のフェアにも参加しました。実際に漁業に従事している方の生の声を聞かせてもらえたのが良かったですね」。

 そしてこの両フェアを通して親睦を深めたのが、現在勤務する天洋丸だった。「天洋丸に就業したのは今年の2月からですが、その前に昨年11月と12月には5日ずつ漁師体験をさせてもらいました。その時は二度漁へ出たんですが、あんなに沢山の魚を見るのは生まれて初めての事だったので感動しました」。二度の漁師体験に、これまでとは違う生き方を見出した岸本さん。慣れ親しんだ関西での就職にこだわっておらず、雲仙市が温暖で住みやすそうだったことから、同地への移住と漁業への就業を決意。新たな人生への第一歩を踏み出したのだった。


↑天洋丸では新たな事業として、岩牡蠣の養殖も開始。いずれこれも天洋丸にとって大きな柱となる事だろう。

固定給制で住環境にも配慮
恵まれた職場で続く挑戦

 岸本さんが勤務する天洋丸は1947年の創業で、煮干しの原料となるカタクチイワシの巻き網漁を操業している。3代目社長の竹下千代太さんは、雲仙市育ちで東京水産大学へ進学し、大手水産会社に勤務した経歴の持ち主だ。その経歴を活かし、漁業だけでなく郷土料理の開発や漁で使った古網を加工した網たわしの生産など、多角的な経営を展開している。

 取材当日は漁へ行かなかったものの、朝9時から網たわしの加工作業が始まり、その後は湾外に設置しているブイなどの位置を変更する作業に従事していた。数日前には漁船のメンテナンスや塗装を行うなど、漁へ行かない日も絶えず何かしらの作業をしているそうだ。そのため天洋丸では固定給制を採用している。また個室寮も完備し、住環境の充実にも配慮している。昼は全員が広間で一緒に食事をすることで、コミュニケーションが図れるように心がけてもいるそうだ。

 「恵まれた職場だと思います。今は将来の展望を描く余裕はありませんが、一日も早く仕事を覚え、先輩たちに追いつきたいですね」と語る岸本さん。彼の挑戦はまだ始まったばかりである。


7/18(月・祝) 「漁業就業支援フェア2022」開催!
詳細はこちら(外部リンク:全国漁業就業者確保育成センターHP)