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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

女性林業者としての成長 家具職人が新たな道を歩む

山梨県甲斐市 杉浦 悠さん
(36歳)農業歴:5カ月

東京都出身。静岡県でガラス職人、東京都で家具職人を経て、転職するなら年齢的にも最後だと思い、林業の正解へチャレンジすることを決める。

家具づくりじゃない仕事へ
それでも木に関わっていきたい

東京都内で14年間家具職人として働いてきた杉浦さんは、家具づくりの仕事で壁を感じるようになり、このまま家具職人として続けていくべきか転職するべきか悩んだという。以前から「35歳までに関東を出て移住をする」と決めており、転職するなら年齢的に最後のチャンスだと思い移住と転職を決意した。

令和3年10月頃から移住に向けて準備を始める。まずは東京交通会館にあるNPOふるさと回帰支援センターを訪れ、「ふるさと回帰フェア」など移住支援イベントの情報を収集。さまざまなイベントに足を運んで各地域の特徴やどのような仕事があるのかや支援制度等について学んだ。特に子供の頃から興味のあった山梨県と長野県のブースで具体的な話を聞き、移住先を絞った。

当初、林業への就業は考えていなかったが、登山が趣味であることから「登山道の整備などの仕事はないかな?」と考えていた。そんな時、母から「山の仕事といえば林業もあるよ」と教えられ、林業への興味が芽生えた。

「森林の仕事ガイダンス」など多くの林業就業イベントに参加して情報を収集する中、山梨県林業労働センターへ「女性林業者の話が聞きたい」と相談し、話を聞く機会も得られた。そこで現場で活躍する女性から女性ならではの悩みについて話が聞けたことに強い安心感を得られたという。

さらに、林業についてより詳しく知りたかった杉浦さんは、山梨県主催の「森林・林業体験ツアー」や山梨県林業労働センターに頼んでインターンシップに参加。そのインターンシップ先が藤原造林であった。

また、「林業就業支援講習」に1日コースにも参加する。20日間コースに参加してチェーンソーや刈払機の他、玉掛、フォークリフト、小型ショベルカーなどの資格を就業前に休日を利用して取得。東京都水道局が行っている玉川水源森林帯というボランティア活動にも参加し、林業への知識を高めるなど積極的に就業前の準備を進めた。

藤原造林でのインターンシップを通じて「この会社で働きたい」という思いが強くなった杉浦さんは、電話で藤原造林に直接連絡し、林業にチャレンジしたいと伝えた。「やる気があれば誰でも大丈夫だよ」との返答があり、今年1月から藤原造林で働くことが決まった。

草刈にしろ地拵えにしろ、先輩の仕事を見よう見まねでどんどん覚えていくという。「元々職人だったのもあって、見て覚えるのが早いのではないでしょうか」と先輩の西さんはいう

 

山に出て何かあったら危険
体調が悪い時は必ず相談する

今年6月からはフォレストワーカー研修生として働く杉浦さん。「私は自分で資格を取得しましたが、講習は平日のみの対応が多く、仕事をしながた資格を取るには休日に資格取得できる場所を探す必要があります、個別に資格を取得するのは大変でした」と振り返りながらも。働きながら資格を取得できる「緑の雇用」は非常に素晴らしい制度だという。

林業者になって6ヶ月、毎日の仕事にやりがいを感じている。他の従業員が重機を動かしているのを見るだけでも楽しいという。いつか自分も手足に要に重機を動かして仕事する。そんな姿を思い描くそうだ。ただ、植え付け作業や土の踏み固めなど、一部の作業は体力や体格の違いから苦労もあったと話す。

杉浦さんは林業を目指す女性へのアドバイスとして、事前に体力をつけることや体調管理の重要性を強調する。悩みや体調不良がある場合は、必ず相談することが大切だという、また藤原造林は女性の雇用経験を活かし、体調を考慮して外勤と内勤を調整して仕事を割り振っている、杉浦さんもこの対応に非常に助けられているという。

藤原造林の藤原正志代表取締役は杉浦さんに対して「山づくりを提案できる森林プランナーとして成長して貰いたいです。実際の現場で経験を積むことが必要であり、さまざまな経験を通じて成長してほしいですね」と今後の飛躍に大きな期待を寄せている。

「みなさん優しいですし楽しいです!」と話す杉浦さん(中央)と藤原造林のみなさん

 

先輩の声
とにかく一生懸命で頑張り屋さんです。外で働くのが好きみたいで、休憩の時間になるまでずっと作業を続けています。一日通して手を抜かない姿勢には僕らも脱帽です。きつい仕事でも嫌な顔をしないで取り組んでいますし、仕事の飲み込みも早いと思います。

有限会社 藤原造林
西 裕司 さん