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しっかり地に足の着いた仕事「林業」
若い力で地元の山々を守る

山形県山形市 沼田 士さん
林業歴 3年

地元の高校を卒業後、林業の道に進んだ沼田さん。準公務員的な安定した仕事であることに魅力を感じて林業を志望した―とは言うものの、柔道やレスリングで鍛えた肉体は林業にうってつけだ。入社3年目にして現場監督に抜擢されるなど、地元の林業を支えるホープとして期待されている。
チェーンソーのエンジンをかけ、歯を木に当てる。緊張と充実の瞬間だ。

チェーンソーのエンジンをかけ、歯を木に当てる。緊張と充実の瞬間だ。

地元・山形に就業して3年目
山で奮闘努力する若き現場監督

さくらんぼ、米、牛肉…美味しい名産品の多い山形県だが、森林資源の豊富な県でもある。沼田士さんは上山市内の高校を卒業後、山形地方森林組合に「緑の雇用」として採用され、現在「緑の研修生」の3年目(最終年)だ。
林業は通常、各自治体の森林組合等に雇用され、そこから給与が支給される。山形県では3年間で研修期間が修了し、勤続5年目で「フォレストリーダー」、10年目で「フォレストマネージャー」と、段階的にステップアップできるシステムとなっている。
沼田さんは今年から「現場監督」の任にある。その現場全体を見て、どの木を伐採するか、どの程度木を残すかなどを判断し、作業員に指示する立場だ。
「毎朝、事務所(山形地方森林組合)に集合し、通常は4人のチームで現場に入ります。仕事の発注者である山形県林業公社からの指示で仕事内容は決まりますが、杉の伐採がメーンです」
指定された現場に入り、木の生育具合、周囲との間隔等を勘案して伐採する木を選定。チェーンソーで切り倒し、木材を集めて長さをそろえ、フォワーダーで運び出して出荷する│という一連の作業に日々従事している。なお、冬季は雪下ろし作業を請け負うこともあるとのこと。雪国山形ならではだ。

 

現場だけが林業ではない。現場ごとに『○○%の木を伐採せよ』という指示があるため、その作業の進捗状況等につい書類をまとめなければならない。現場監督になったおかげで、こうした事務作業量が増えたのが悩みの種だとか…。
作業現場は、杉の木が生い茂る急斜面だ。チェーンソー、フォワーダーなど様々な機械を使用する危険と隣り合わせの仕事だが、少々の雨ならかっぱを着て現場に出るし、積雪のある冬季も山に入るという。現場での作業は、ちょっとした油断が大事故につながりかねない。
「チェーンソーの取り扱いはもちろん、キックバック(チェーンソーが作業者側に勢いよく戻ること)にも注意します。また、伐採時やフォワーダーの旋回時など、常に周囲に人がいないかどうかを気にかけて慎重に作業をしています」と沼田さん。幸い大きなけがはないものの、斜面で滑ったり、無理な姿勢で重いものを持ち上げて腰を痛めたり、蜂の大群に遭遇したり…。奮闘の毎日だ。
チェーンソーで木を伐採するのが楽しいという沼田さん。林業のやりがいとは、どのようなところにあるのだろうか。
「個人的には、一つの現場での作業が終了したときに、充実感ややりがいを感じます。また、機械類の整備やメンテナンスをするのも好きですね。人によって、それぞれ得意分野があると思うので、それを林業という仕事の中で活かすことができれば、日々の充実感につながると思います」
日本は国土面積の約7割を森林が占める、世界有数の森林大国だ。この豊かな資源を守る林業の世界に、あなたもぜひ!

高給ではありませんが安定して働きやすい職場です

今年から現場監督の立場になったので、事務仕事が増えました。現場作業の方が好きですが、夏場は暑い上に蚊が多くて…。町にいる蚊と違って、山にいるヤツは強烈ですよ。また、10 月頃は蜂にも悩まされます。
毎朝、事務所で”アルコールチェック”があるので、深酒はできません(笑)。現場での仕事は日が沈むと終了するため、秋・冬頃になると5 時前には終わります。書類仕事があるので、そのまま、まっすぐ帰る…というわけにはいきませんが。
第1、第3土曜日は出勤ですが、それ以外の土日祝日とお盆・年末年始はお休み。休日出勤はありません。