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田舎だからできる仕事、
少年時代にあこがれた林業へ

宮城県栗原市 川上哲也さん

林業は体力勝負であり、常に危険と隣り合わせ。決して楽とはいえない仕事だが、就業して5年目の川上哲也さん(49歳)はいまだに仕事への好奇心を忘れない。そんな彼が林業を志した理由と現在の仕事内容、そして林業への思いとは。宮城県栗原市の山林を訪れ、その本音に迫った。

川上哲也さん

20年続けたイベント関係業から40代で林業の世界へ

林業に就いて5年目を迎えた川上さん。前職では仙台を中心に、舞台や展示会などさまざまなイベントの準備に関わる仕事を個人で請け負った。しかし、不況により仕事が減少。結婚を機に妻の実家のある田舎に移り住みたいと考えていたことから、あこがれの林業の道を目指した。
「林業には子どものころから興味がありました。でも就業の方法がわからなかったんですよね」と川上さん。インターネットで情報収集し、まずは2009年春に開催された林業就業ガイダンスを訪問。続いて、4月に行われた林業就業支援講習へと参加した。
約20日間にわたる講習では、林業に必須である刈払機やチェーンソーの扱い方を学ぶことができる。参加費は無料な上、宿泊費がかかった場合は1日当たり4200円までの補助も出る。
川上さんもこの講習で林業の基礎を学び、その後は林業事業体が集まる共同説明会に参加。縁あって、宮城県森林組合連合会に採用された。

頑張るうちに慣れてくる 共に林業を活性化させよう!

就業後しばらくは、一日中刈払い作業に励んだ。「山は平坦じゃないので、最初は歩くだけでもつらかったです」と川上さん。全身の筋肉痛に加え、足裏にはマメができ、さらに山の気温の高低差が体力を奪った。それでも暑い日には冷たい水を持ち歩くなど、単純な工夫を重ねるうちに、次第に体が慣れてきたという。
徐々にチェーンソーを使った作業も経験し、最近はフォワーダという木材運搬車の操縦を任されている。林道に重ねられた木材を、トラックで運び出しやすい場所に集める作業だ。
「林業は自分のやり方一つで、効率の良し悪しが変わってくるのが面白いです」。草木が生い茂る山中では、木の生え方も均一ではない。そんな中でもいかに作業効率を上げるかを考え、仕事を楽しんでいる。
川上さんには、もっと林業に人気になってほしいという思いがある。それは今年の5月に林業就業支援講習で実技指導の補助を務めた際、新規就業を目指す方々と触れ合った時に感じた思いだ。
「前職でイベント関係の仕事をしていたからかもしれませんが、興味を持ってくれている方をもっと取り込んでいけたら…と思うんです。そうすれば林業はもっと活性化するでしょうし、僕らのギャラも変わるかもしれません(笑)」
川上さんによれば、「技術や体力は入ってからなんとでもなる」とのこと。「元気の良い人に入ってもらって、一緒に林業を盛り上げていきたい」という川上さんの言葉は、全国にある林業事業体の全ての思いを代弁したものではないだろうか。

林業_STEP01

本人の声:川上哲也さん