島根県飯南町 中野 良介さん(38歳)
農業歴8ヶ月
- 兵庫県神戸市から島根県飯南町へ
兵庫県神戸市で食品業社の営業職に就いていたが、妻の「田舎で農業をやりたい」という思いに影響を受け、就農を決意。平成23 年に島根県飯南町に移住し、自身の農園を「中野あおぞら農園」と名付けて独立就農を果たす。
町の支援を受けて移住順調にスタートした飯南暮らし
島根県の玄関口に位置する飯南町は、神戸川水系の源流地域でもある自然豊かな町だ。ここに約3年前に移住してきた中野良介さんは、町の研修制度を活用し、平成26年4月に独立就農を果たした。
「移住や就農の情報収集をしていた時、たまたま目にとまったのが飯南町でした。何度か足を運んでみて、環境も気に入ったし、役場の人からもぜひ来てほしいっていうのが伝わって、ここに決めました」。
同町ではU・Iターンをして自営就農を目指す人に、研修先の紹介や農地の斡旋、空き家の確保など、必要な支援を行っている。研修手当も支給されるため、最低限の生活資金を賄うことができる。
「何を始めるにも、役場の人が地元の人との間に入って話をしてくれるんで、安心でした。住まいは改修中の空き家を提供されて、ここに住んでくれーって。研修先はいくつかの候補の中から、自分で選んでお世話になりましたね」。
農業は全くの未経験だったが、特に不安はなかったという。2年の研修期間を通して、自分が本当にやっていけるのか見極めようと決めていた。
「研修先の師匠は厳しいことばかり言う人だったんですけど、いざ独立してみたら仕事に対するギャップもなくて。研修期間が活きたというか、師匠のおかげですね」。
町の人たちに支えられ、中野さんの新生活は順調なスタートを切った。
パプリカを中心に農業経営やりがいや生きがいを感じる日々
「中野あおぞら農園」の主力作目はパプリカだ。現在は4棟のハウスに定植しており、収穫期間は7〜11月の長期に渡る。繁茂期の夏は1日おきに収穫作業があり、収穫量も多いため、パプリカ以外の作業に手が回らない日も少なくないという。
「収穫したパプリカはきれいに拭いて、袋に詰めます。夏は朝5時に起きて、19時頃まで作業をする。気温の高い日中はたっぷり休憩を取ります」 取材に訪れた10月頃になると、作業量も比較的落ち着いてくる。
「今は朝8時頃にハウスに来て、落ち葉の掃き掃除をします。パプリカの収穫は週に2日程度。収穫がない日は露地でサツマイモの収穫をします。途中で昼休憩を90分程挟んで、夜は18時まではやらない。人手が足りないなぁとは感じているので、それをどうするかが今後の課題ですね」。
経営に関しては県の農業普及部からのアドバイスを受けながら、ゆくゆくは自分で決めていかなければならない。責任も伴うが、「やりがいや生きがいは今の方が圧倒的に感じる」と笑顔で話す。
「時間に追われない、自分で決められる。解放感がありますね。農作業で体を動かすのも気持ちがいい」とすっかり今の暮らしを満喫しているようだ。
就農して約8ヶ月。手探りで進むことも多いが、それ以上の充足感が中野さんの日々を満たしている。
わたしの田舎暮らし
人の少ない環境が一番気にいってます。ごみごみしていなくて、のどかです。小学生の娘がいるんですけど、神戸の頃に通っていた学校は全校生徒1,000人近い規模で、今の学校は全校生徒50人くらい。生徒全員に目が行き届く環境もいいなぁと思ってます。研修先の師匠に教えてもらったのは、「地元のお祭りには積極的に参加すること」、「消防団には入っておきなさい」、「お葬式には参加すること」。これを守っていたら、知り合いも増えていきましたね。移住してすぐに、地元の人が歓迎会を開いてくれて、心もあったかいし飯南町に来て良かったです。
種まきや間引きの作業は大変だが、ある程度育てばほうっ ておいても大丈夫だという。
「ハウス内での作業が忙しいため、露地野菜はあえて手のかからない作目を選んだ」と中野さん。