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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

グループだからできる農業
支え合う就農の形

兵庫県淡路市 森靖一さん、佐藤直也さん、水野拓宇馬さん
農業歴 8ケ月

森 靖一さん
幼少期に八百屋を経営する祖母の姿を見て育ち、野菜で事業を起こしたいと考える。就農前に金融系の会社で営業のノウハウを学ぶ。
佐藤 直也さん
実家の農業経営を引き継ぐ予定だったが、規模の縮小からあえなく断念。飲食業界に就職した後も農業への夢は捨てきれず、就農を決意。
水野 拓宇馬さん
家庭菜園を通してものづくりに興味を持ち、環境系の大学へと進学する。就職活動中に就農支援事業の話を耳にし、飛び込む。

紫・黄・白ニンジンを収穫中。サラダに入れたり野菜 スティックとして、そのままいただける。

リーダーは生産もこなす営業マン
グループ全体で効率的に野菜作り

兵庫県淡路市に、2013年4月に就農したばかりの若手農家を中心とした、農園グループがある。グループの名前は「フレッシュグループ淡路島」。森靖一さんをリーダーに、メンバーは個々に農園を持ち、独立就農の形を取りながら、生産した野菜をグループで販売している。
「自分が作ったものを、自分で売っていこうと考えていたんです。でも1人で作る量は限られている。なら、一緒にやっていくのがベストかなと思いました」
グループ結成の理由を、森さんは語る。
彼らが出会ったのは約3年前。法人企業が行う淡路島の農業ベンチャー支援制度に参加した。ここで森さんは販売を、佐藤直也さんと水野拓宇馬さんは生産を学び、3年間の研修期間を終えた。
「研修中から、森ちゃんは僕らのリーダー的存在でした。僕と水野はよく怒られていましたね。そんな彼がグループを作ろうって言ってくれたので、その気持ちに応えたいなぁと思いました」と、佐藤さんが当時を振り返る。
グループの主要メンバーは6人、この他提携農家は約20軒に及ぶ。佐藤さんや水野さんたちが作った野菜を、森さんが全国に営業する仕組みだ。グループ化したことにより、多くの種類や数を作れること、メンバーが農作業に打ち込めることなど、様々なメリットがあるが、何よりも「心強い」と3人は話す。
「分からないことがあっても、すぐにメンバーに相談できる」と水野さんが話すと、森さんと佐藤さんも何度もうなずく。佐藤さんは、農業機械や農具がそろえられず、困っていた時期もあったそうだが、メンバーに借りて乗り越えたと話してくれた。彼らは単なる仕事相手ではなく、助け合い、信頼できる仲間なのだ。
水野さんが地域の人から借りているトラクターをお披露目。3 人乗ってもびくともしない巨体で、田畑を耕す優れものだ。

休日には仲間とバーベキューを楽しむ森さん。野菜や肉をふんだんに使った本格的な料理がズラリと並ぶ(写真下、右下)。佐藤さんは旅行や温泉巡りが趣味。写真左は、佐藤さんの友人が大分県九重町で経営している日帰り温泉の湯。

休日には仲間とバーベキューを楽しむ森さん。野菜や肉をふんだんに使った本格的な料理がズラリと並ぶ(写真下、右下)。佐藤さんは旅行や温泉巡りが趣味。写真左は、佐藤さんの友人が大分県九重町で経営している日帰り温泉の湯。

3人に将来の夢を尋ねてみると、「カッコイイ車が欲しい」と水野さんが声を上げる。佐藤さんは、「家が欲しいです」と笑って話す。すると森さんが、「グループの仕組みを、これから農業を目指す人たちに伝えていきたい」と軌道修正。
「いつかは研修生の受け入れもしたいです。それから、研
修生には稲作を義務化したい」と話すと、佐藤さんと水野さんも興味津々で聞き入る。 「稲作農家は多いので、地域の人とのコミュニケーションが増えるんです。地域に溶け込みやすくなる」
さらに森さんは続ける。
「野菜を作って生計を成り立たせることだけが農業じゃない。農村で地域の人たちとともに生きることが、農業だと思うんです。農村では、稲作のために池や川、水路をきれいにしている。それを知ってほしい」
その目は自分たちのことだけでなく、農業・農村の未来まで見据えている。
3人の夢の話は尽きない。そのどれもがまだまだ彼らと同じ「タマゴ」。これからどのように成長していくのか、大いに楽しみである。

研修や資金の計画を立て、やりがい満点の農業を

「時期にもよるけれど、朝はそんなに早くない」と3人。陽が沈むとその日の作業も終了する。「僕は夏が苦手なので、冬の生産量を増やしています」(佐藤さん)というように、自分に合った営農計画を立てることも可能だ。「一番困ったのは資金。野菜が実るまで収入がないため、青年就農給付金なしではやっていけない」(水野さん)など、農業ならではの悩みも語る。移住生活はどうだろうか。「淡路島の良いところは受け入れ態勢が整っていること。新規就農を目指す人は、支援事業や研修制度を活用して、地域の様子を知った上で飛び込むべき」(森さん)