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海上自衛官から一転 法人立ち上げ奮闘の日々
今こそ挑戦の時 農業経営者の道へ一歩踏み出す

山口県岩国市 平岡 誠さん
(41歳) 農業歴: 2 年

【ひらおか まこと】愛媛県東温市出身。前職は海上自衛官で、最後の赴任地である岩国市で定住を決意。2019年に㈱デナリファームを設立。

平岡さんの前職は海上自衛官。フライトエンジニアとして充実した日々を送っていたが、ひと区切りついたところで農業での起業に踏み切った。現在は、㈱デナリファームの社長として、イチゴ23a、サツマイモ1haを経営している。
「農業をいつか仕事にしたい」という思いは20代の頃からの長年の夢。自衛官として活躍する傍ら、その気持ちはどんどん大きくなっていった。一番心配していたことは「農業で本当に生計を立てられるのか」という問題だ。公務員の安定を手放して経営者としての道を歩むことに不安はあったが、具体的な計画を立てていくうちに家族の理解を得ることができた。
転職時に周りからよく言われたのが「農業は儲からないからやめたほうがいいよ」という言葉。しかし、一口に農業といっても選択する作目や耕作面積などによって大きく変わる。また、初期費用をいかに抑えるかも重要だ。
平岡さんが活用した制度は、「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」と「農の雇用事業(新法人設立支援タイプ)」。イチゴの栽培施設は、地元の農業者から中古の居抜き物件を購入することにより費用を抑える一方で、ハウスに自動環境制御装置を設置したり、効率的な栽培に向けて農作業のデータ収集・解析に力を入れたりと緩急のついた投資を実践した。


そんな平岡さんだが、一人の力でここまでやってきたわけではない。その隣には、志を同じくする、高専の頃からの友人であり、自衛官時代の同僚でもあった野間佑平さん(41)の姿があった。
仕事は完全に分業制で、サツマイモと経理関係は平岡さんが担当し、イチゴとスタッフ管理は野間さんが担当している。
「お互いの良さを最大限に発揮できる体制が理想です。それぞれの責任と裁量で自由にやれる今の形は私たちにあっていたみたいですね」と笑顔で語る平岡さん。
今後の目標は、農福連携や食育への取り組みを含む、さらなる事業の拡大だ。農業にはまだまだ可能性があると実感する平岡さん。次世代を担う就農希望者との連携を深めつつ、新たな技術の実践にも積極的に取り組んでいく。㈱デナリファームの挑戦は始まったばかりだ。

↑圃場での平岡さん(右)と野間さん