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農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

充実した支援制度が決め手
費用抑え、独立就農

高知県安芸市 松橋 亮さん
(48歳)農業歴:4年

松橋 亮【まつはし りょう】
神奈川県横浜市出身。美容師を経験したのち外資系美容メーカーに勤務した。40 歳を機に起業を決意し、西日本を中心に地方移住に向けた活動を開始。今ではナス 18a を経営し、農閑期には長期休暇を楽しむなど充実した生活を送っている。

気候と仕事の有無が移住地選定の軸
 神奈川県横浜市出身で、美容師や外資系美容メーカーなど、美容に関する仕事に20年近く従事してきた松橋亮さん。充実した生活を過ごしていたが、次第に独立して自分の力で稼いでいくことに興味を持ち、40歳を機に行動に移し始めた。
首都圏での起業は金銭的な負担やリスクが大きいと判断した松橋さんは、始めに西日本を中心とした地方への移住を視野に入れた。移住先候補は、気候が温暖であることと、将来的になくならない仕事があることに重点を置いて探したという。

 移住に関する情報収集の手段はインターネット。相談会やフェアの開催情報をつかむと、片っ端から参加したそうだ。「約半年間は週末を利用してあらゆる相談会に参加しました。西日本エリアで開催されるイベントにはほぼ参加したんじゃないかな」と当時を振り返る。

 そうした活動の中、高知県の農業に興味を持ったきっかけは、首都圏で開催されている高知県の農業についての講座「こうちアグリスクール」だった。受講してからの行動は早く、一通りの情報収集を済ませると、高知県立農業担い手育成センターに入校して一年間の研修を受講した。農業に関する座学や実地研修を重ねるうちに、高知県に移住したいという気持ちが徐々に強くなり、研修開始から4か月後には、安芸市のナスで就農することを決めたという。覚悟が決まり、本格的に農業に取り組んでいくにつれ、両親も安芸市に迎え入れることになった。

 いざ就農するにあたって忘れてはならないのが、支援制度の活用だ。安芸市では、地域農家の元で最大2年間の実践研修を受けられるほか、市およびJAがサポートハウス(就農時に借り受けできるハウス)を整備しているなど、手厚い支援がある。
 「支援制度をうまく活用することで初期費用をかなり抑えることができますし、研修先で学んだことが日々の仕事の基礎となっています。こうした制度を知っているかどうかが移住後の生活を左右するといっても過言ではないと思います。これから移住を目指すみなさんには、移住先でどんな制度を利用できるかよく勉強しておくことをお勧めします」と話す松橋さん。県や市の制度だけでなく、国による「農業次世代人材投資資金経営開始型」も活用しており、可能な限り自己負担を減らすことができたことが、経営の安定につながっているそうだ。

 助成金は、ハウス内の環境制御システムなどの省力化施設の整備にも使用した。栽培を一人で手掛けている松橋さんにとって、こうした設備投資が非常に役立っているのだという。


↑環境制御システムを導入し、ハウス内は常に最適な栽培環境に。

自由な時間が最大の魅力
繁忙期を過ぎれば長期休暇を満喫

 移住後の生活について聞いてみたところ、「時間の使い方の自由度が格段に上がりました。自分の決めた目標をきっちりこなしていれば、いつ、何をしててもいい。効率的に仕事をこなせるようになれば、その分自由な時間も増えるので、どうすれば生産性を上げられるかを日頃から考えるようになりました。就農したての頃は、日々の仕事に追われて大変でしたが、今ではプライベートも充実しています。繁忙期を過ぎれば、一か月くらい長期の休みをとって旅行に出かけたりしていますね」と笑顔で語ってくれた。


↑天敵栽培(天敵で害虫を防除する取り組み)を取り入れ、農薬に頼りきらない栽培方法を実践。