「iju info」/移住インフォ 移住情報
農林漁業就業・ふるさと情報  Produced by NCA 全国農業会議所

スノーボードが導いた
港町でのエビ漁生活

新潟県糸魚川市 則行 泰さん
漁業歴5年

大阪府枚方市から新潟県糸魚川市へ
大阪府枚方市出身。20 代はスノーボードをするためにアルバイト生活を行い、その後、鉄工所勤務を経てスノーボードの縁から糸魚川市に移住。主にエビ漁を行う漁船「太平丸」の乗組員へ転身し、5年目を迎えた。

則行 泰さん

スノーボードで親しんだ新潟へ「軽いノリ」で就いた漁師も5年目

20歳の頃からスノーボードを始め、大会に出場するほど熱心に取り組んでいたという則行泰さん。大阪府出身だが、毎年冬には新潟県上越市のスキー場に5ヵ月ほどこもり、ゲレンデ整備の仕事をしながら自身もスノーボードに励んでいたという。30歳を前に冬の山ごもりをやめて地元の鉄工所に就職するも、リーマン・ショックの影響を受けて退社。そんな中、スノーボード仲間から漁師募集の話を聞き、漁業の世界へ飛び込んだ。
移住先の糸魚川市は、上越市と隣接しているため土地勘はあったが、漁業に関する知識は全くなかったという。それでも本人曰く〝面白そうやなと軽いノリで〞新潟漁連の集団面談会に参加。その後、現在乗組員として勤務する船「太平丸」での1日体験乗船を経験し、平成22年6月から本格的な漁師生活が始まった
新人漁師の最大の壁が船酔いである。これを克服できずに辞めてしまう者も多いと聞くが、則行さんも初日こそ吐いたものの「不思議と慣れるもので、1週間もしたら大丈夫でした」という。また、朝の早さについても問題なしとのこと
こうして漁業に順応していった則行さんだが、迎え入れてくれた太平丸に対しては何度も感謝の言葉を口にした。親方(船長)の大貫正史さんが、仕事はもちろん生活面も家族ぐるみで気にかけてくれ、食材は海のものだけでなく山のものもいただいたり、飲み会には「強制参加」で連れていかれたりするのだという。移住者側の努力と受入側の支援が合わさって、現在の則行さんがあるようだ。

仕事に一生懸命取り組みながらも肩ひじ張らず、
移住生活を楽しむ

太平丸の乗組員は、親方と則行さんの2人。主に牡丹エビと南蛮エビ(甘エビ)を捕るために底引き網漁を行っている。夜明けとともに能のう生漁港を出航し、20分ほどで漁場に到着。網を仕掛け、しばらく海底を引き回してから引き上げて捕れた魚をすくう。約2時間半ほどかかるこの作業を、1日に3〜4回行っている。 午後1時頃に港に戻り、セリに出すためにエビや魚の仕分けを開始。この作業には、親方の父(太平丸の先代船長)を始めとした身内の力を借りて黙々と取り掛かる。セリの開始が3時のため、気を抜いている時間はないのだ
仕分けを終え、セリ場に並べたら後片付けを始める。最も高い値段をつけた買い手に自動的に買われていくため、漁師が売買に関わることはない。網のメンテナンスなどの必要がなければ、その日の仕事はこれで終了となる。
「網を上げたときにたくさんかかっていると『おおー!』とワクワクします。その分、歩合で自分の給料にもつながりますし」と則行さん。漁の楽しさは、やはり大漁に捕れたときにあるという。
知識ゼロの状態で漁業の世界に飛び込んだ則行さんだが、自然体でいることが印象的だ。肩ひじ張らず、まずは巡り合ったその地域と仕事を理解し、その上で自分の楽しみ方を見つける。これが移住を成功させるポイントなのかもしれない。

わたしの田舎暮らし

「釣りをするならそんな食えないものを釣らないで海釣りしろ」と言われるんですけど...冬は海が荒れて休みが多いので、しょっちゅうスノーボードを滑りに行っています。スキー場が 近いのはいいですね。夏も山奥に入り、池でバス釣りをしています。よく、「釣りをするならそんな食えないものを釣らないで海釣りしろ」と言われるんですけど、海べりとは違う山の空気も気持ちいいんですよ。
あとは、いろんな食材をいただくので、大阪にいるときよりは料理をするようになりました。飯がおいしいです。もちろん、料理がめんどくさいときはコンビニにも行きますけどね。コンビニに行くと、たいてい誰か知り合いに会ってしまうので、「またビール買ってんのか」なんて突っ込まれます。人付き合いはやっぱり大阪にいた頃よりも濃いですね。

親方こと船長の大貫さん(左)と則行さん。 太平丸は現在、この2人で底引き網漁を行っている。

親方こと船長の大貫さん(左)と則行さん。
太平丸は現在、この2人で底引き網漁を行っている。

種類やサイズごとに箱詰めした後は、 このようにセリ場に並べて落札されるのを待つ。

種類やサイズごとに箱詰めした後は、
このようにセリ場に並べて落札されるのを待つ。

↑↓能生漁港近くの道の駅「マリンドリーム能生」では、新鮮な海産物や加工品を販売している。

↑↓ 能生漁港近くの道の駅「マリンドリーム能生」では、新鮮な海産物や加工品を販売している。

仕事はハードだが休みは多い。